最近、良く目にする”ココヘリ”がスゴいらしい
登山用品店や山岳雑誌の広告欄、知り合いの登山者が持っていたりと、最近目にすることが多くなってきた「ココヘリ」。
名前は知ってるけど、いまいちどんなサービスなのか詳しい内容を知らない人も多いのではないでしょうか?
「遭難者が見つからない!」をほぼゼロにできるサービス
ココヘリとは『発信機(会員証)を利用した、会員制捜索サービス』のこと。遭難救助の時にネックになる「遭難者がどこにいるのかを特定すること」を発信機を使うことでスムーズに行い、素早い救助活動を支えるサービス
です。
2019年7月時点の捜索事案の件数は22件(直近1年間)で、そのうち解決事案は21件(※1)。発信機を携帯していれば、ほとんど100%発見してもらえるというサービスです。
※1:未解決事案の1件も発信機不携行によるもの
【発見率100%!】(MISSING)素早く・正確に遭難者を見つける「ココヘリ」とは?
もし登山中に遭難してしまったとき、山岳保険と登山計画書さえ出していれば大丈夫と思っていませんか?じつはこの2つだけでは、あなたを確実に...
ココヘリに入っている人増えてます。
2016年にサービスを開始したココヘリの会員数は、現在2万人を超えました。発信機をザックにつけている人を目にすること、増えていませんか?
2019年7月時点で、28都道県の警察航空隊・防災ヘリがココヘリ会員証の電波をキャッチする専用受信機を導入していることからも、その実力の信頼性が伺えます。
今回はココヘリを提供するオーセンティックジャパンの久我さんに、今後の展望についてお話を伺いました。
まだまだ1%未満。もっとやれることはある。
大迫
山でココヘリの発信機を見かけることが増えてきましたし、読者からのコメントでも、ココヘリに興味を持っている人が増えてきているように感じます。
ぶっちゃけスゴく順調ですよね?
久我さん
ココヘリのサービスを信頼して入会してくれる方が増えたのは、本当に嬉しいですね。
ただ、現在の会員数は約2万人(※2)。登山人口(年に3回以上登山をする人)が約300万人くらいと言われているので、まだ1%にも満たない状態です。もっと頑張らないといけないと思っています。
※2)2019年7月時点
大迫
たった1%未満。つまりこんなイメージですか?
久我さん
平成30年度の遭難発生件数が2,661件、遭難者数が3,129人です。
直近1年のココヘリの実績が22件なので、まだサービスを届けるべき人に十分に届いていない状態だと感じています。
山以外でも使えるサービスにしたい
大迫
1日10円のサービスとはいえ、ココヘリ会員はその効果を実感する機会ってあまりないですよね?もちろん遭難した時に見つけてもらうサービスなので、使わないにこしたことはないのですが。
やはり良さを実感できないサービスにお金を払いたくない、という気持ちもわかるんですよね。
久我さん
その通りだと思います。例えば、今は山でしか使えないココヘリを普段でも使えるようにするなどして、もっとサービスのメリットを増やしたいと考えています。
大迫
具体的にどういうことですか?
久我さん
現在、Bluetooth搭載のココヘリを開発中です。アプリでスマホに受信機の機能を持たせることで、発信機を探すことが可能になります。
久我さん
さまざまな企業様とコラボすることにより、色んなデザインの発信機を作っています。例えば、お気に入りのデザインの発信機を普段から鍵につけることで、鍵の紛失を防ぐことが可能です。
大迫
何かしらのカタチで使えるようになるのは良いですね。これは想像ですが、Bluetooth機能と親機があれば雪崩ビーコン(雪崩などで埋没してしまった人を探すために使う道具)に近い使い方ができるかもしれませんね。
ココヘリ会員である価値を高める!
大迫
実は僕もココヘリ会員なんですけど、ポイント割引を使ってミレーのドライナミックメッシュ買ったんですよ。いろいろ調べましたけど、結構お得ですよね。
久我さん
ありがとうございます。実はどんな商品でもいいわけではなく、安全登山につながるアイテムを揃えるようにしているんですよ。
大迫
たしかにツェルトって必要だと言われながらも、その使用頻度と値段からなかなか手を出せない人も多いんですよ。せっかく入会ポイントがあるのであれば、普段後回しにしているようなアイテムをお得に買うチャンスですね。
久我さん
買い物以外ですと、個人賠償責任制度も最大で1億円ついているんですよ。捜索サービス以外にも、いろんな付加価値をもたせることで、ココヘリ会員であることのメリットを感じてもらえるようにする工夫をしていきたいと思っています。
”発見するチカラ”をもっと上げていく!
会員サービスの付加価値を上げるなどさまざまなことに取り組んでいますが、本質部分の捜索サービスとしての価値を高めることが、もっとも会員の安心につながると久我さんは考えています。
雨や視界不良でも問題なし。ドローンを活用した捜索
久我さん
この7月から受信機を搭載したドローンが配備されます。
大迫
おぉ。それはスゴい。視界不良でヘリが飛べない時の捜索がスムーズになりますね。
久我さん
活用イメージはこんな感じです。
久我さん
ドローンで受信機を高いところに飛ばすと、地上よりも発信機の電波をキャッチしやすくなります。どこの方角に何メートルくらいの距離なのか?という情報がわかれば、地図を使って遭難者の位置が絞り込めます。
大迫
その情報を元に地上隊が捜索をするわけですね。雨や視界不良でも使えるのは心強いですね。
ココヘリの捜索ネットワークを更に強くする
久我さん
ココヘリを導入してくれる公的機関を増やすことも重要なミッションです。導入している機関を増やせば、その分ヘリが近くから出動できるようになります。
大迫
つまり、遭難者の元に早く駆けつけられるということですね。
久我さん
現在は28都道県が導入してくれています。その数を増やすことで捜索スピードを上げ、会員様のメリット向上につなげたいです。
ココヘリでは遭難はなくせない。
だからこそ正しく使って欲しい。
ココヘリ会員が増えていることは嬉しいが、それとともに不安に思うこともあるという久我さん。一体、その懸念点とはなんなのでしょうか?
あくまでも”遭難後”の捜索サービス
久我さん
周りの人がココヘリを持つことで、自分も入らなきゃと思って入会してくれることはありがたいんですが、サービスを誤解して入会しないようにしてほしいですね。
大迫
ココヘリは遭難した後の人を探すサービスであり、遭難事態を未然に防ぐものではないということですね。
久我さん
『ココヘリに入っている=遭難しない』ではないので、ココヘリに加入しているからといって無茶な行動はせず、安全登山を心がけてほしいですね。
充電をして持っていく+どこに行くかを伝える
久我さん
そもそもではあるんですが、発信機を使用前にきちんと充電をして、入山前に電源を入れておく。そして、忘れずに持って行ってください。
大迫
発信機を持っていないと、探そうにも探せないですからね。装備の確認の時に、ココヘリの充電や電源ONも追加ですね。
久我さん
そして、必ず登山計画書を提出したり、家族に伝えるなどして自分の足跡を残しましょう。
「何県のどこの山にどのルートから登るのか」がわかれば範囲が絞られるので、スムーズな捜索活動ができます。
大迫
あとは、いつまでに帰らなければ救助依頼をして欲しいということも伝えていたいですね。その時に、通報の連絡先を伝えているとさらに良し。
久我さん
ココヘリの捜索サービスの力には自信があります。なので、それを最大限活用できるようにしてください。
テクノロジーが登山をもっと安全で楽しいものにする
ココヘリや登山用GPSアプリ、ドローンを活用した遭難捜索など、さまざまなテクノロジーの進化によって、より安全に登山を楽しむことができるようになりました。
しかし、油断は禁物です。きちんと役割を理解して使いこなさなければ、せっかくの便利な機能も台無しです。
【ココヘリを活用するための注意点】
▼登山前に必ず充電をする。発信機のバッテリーは約3ヶ月持ちます。▼必ず電源を入れて持っておく。電源が入っていないと、電波を探すことができません。
▼「どこの山に登るのか」をきちんと家族や親しい知人など、異変に気づいてくれる人に伝えておく。連絡がなければ、捜索が行われません。