“買い物弱者”を救う移動スーパー 「とくし丸」信濃町でもスタート 長野

過疎化や高齢化が進み、いわゆる「買い物弱者」が増えている中、長野県信濃町のスーパーが7月23日から移動販売車の運行を始めました。以前、ニュースでもお伝えした移動スーパーの「とくし丸」で、県内では7ヵ所目です。

7月23日、信濃町で営業を始めた「とくし丸」。生鮮食品や惣菜、日用品など幅広い商品を積めこんだ移動スーパーです。希望のあったおよそ100戸を3つのルートに分け、週に1回ずつ回ります。町内のスーパーの商品、およそ400種類1000点以上を積んだ「とくし丸」。その特徴は「要望のあった家の玄関先まで行くこと」です。店頭価格より一律10円上乗せされますが、高齢の方には、ありがたいサービスです。

(80代)「ありがたい。出ていかれないのに、こうして来てくれて」
(84歳)「腰がこんなんになったから歩けなくて(買い物に)行かれない。出かけられない人もいっぱいいるから、来てもらえれば助かる。楽しかった」

信濃町で65歳以上の高齢者が占める割合は、40%を超えています。
とくし丸の運行を始めた町内の「第一スーパー」は、買い物が困難な高齢者のため、無料の送迎バスを運行していますが、それでは「応えられないニーズ」があると感じていました。

(第一スーパー・大岡敏久社長)「バスにも乗れないお客さんもいる。だいぶ高齢化して。また女性は化粧しないと外出できないという不便もあり、とくし丸は玄関先に乗りつけるので、面倒な格好をしなくても買い物できるメリットはある」
徳島県の企業が2012年からフランチャイズ展開し、全国で400台以上ある「とくし丸」。県内では岡谷市や辰野町、阿南町などで運行し、信濃町が7ヵ所目です。
(販売パートナー・安藤陽子さん)「寒天とかわかめとかあるから必要な時、言って下さい」
「とくし丸」をスーパー側に提案して始めたのが、販売パートナーの安藤陽子さんです。安藤さんは今年3月まで町の職員でした。ケアマネージャーとして高齢者の家を回る中で、買い物が困難になる姿を目の当たりにし、この仕事をやる決心をしました。

(販売パートナー・安藤陽子さん)「買い物バスは乗っている人もたくさんいて、ものすごく楽しいと。(しかし)乗っていけなくなった、荷物が重くて持てなくなったという人の落胆はすごくあった。そういう人に元気を届けたいのが一番。移動スーパーをやりたいと」

車椅子のため、買い物は家族に任せていたという女性は、「とくし丸」が家の前まで来ることになり、自分で買い物ができるようになったと喜んでいます。
(70代)「予定よりいっぱい買っちゃった。スイカ、バナナ、アイスコーヒー・・・毎週火曜日に来てもらえるからうれしいです。みんなこれから助かると思う」

初日は、30件ほど回りました。
(販売パートナー・安藤陽子さん)「すごく楽しいがお待たせすることが多くて慌ててしまう。でも、待っててくれるのはすごくうれしい。雪が降って大変な地域だから、みなさんの要望に応えられるようにしていきたい」

(とくし丸・住友達也社長)「(長野県人口は)徳島の倍でしょ。だから60~70台走っても十分需要があると思う。まだ7台で10分の1なので、もっとスピード感を持って、1年くらいで70台くらいになるようにしたい」
山間地も多く、過疎化や高齢化が進む地域が多い長野県にとって、「とくし丸」の需要は今後、さらに増えるかもしれません。

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