日照不足に悲鳴 スイカ「収穫減」、海水浴場客足鈍く

曇天の下、来場者もまばらな海水浴場=鎌倉市内

 7月の日照不足が、農産物や海水浴場に打撃を与えている。三浦市内では夏の味覚を代表するスイカの収穫が落ち込み、鎌倉市内などの海水浴場では客足が遠のいている。関係者は本格的な夏の到来を待ちわびている。

 「今年ほどひどい状況は、最近ではない。辛抱しないと駄目な年だ」。特産の大玉スイカを生産する60代男性は頭を抱える。

 市内では例年、7月下旬に大玉スイカの出荷ピークを迎える。だが雨の日が続いた影響で、男性の畑ではつるが枯れ、葉が腐り、実が大きくならないものもあった。さらに実を腐らせる菌も繁殖。8月のお盆の時期に販売するために栽培していた株を全て抜いた。

 ここ数日、ようやく太陽が顔をのぞかせたが、「晴れるのが遅かった。今からではどうにもならない」と男性。「また来年、頑張りたい」と声を落とした。

 市農業協同組合によると、こうした状況は市内で相次いでおり、「畑一面が駄目になってしまった」との悲痛な声も寄せられている。担当者は「今年は収穫量が1、2割は減るのでは」と感じている。

 一方、海水浴場でも客足が鈍っている。

 材木座、由比ケ浜、腰越の3カ所で海水浴場が開設されている鎌倉市の観光課は「まだ客数データは出していないが、感覚的に相当少ない。去年とは正反対だ」と説明する。

 猛暑だった2018年は3海水浴場の入り込み観光客数は70万人と、冷夏だった前年を10万人以上上回った。「今年は日照不足に加え、気温も低く、『海に行きたい』という気持ちが生まれない」。同課の担当者は、海水浴客の気持ちを代弁する。

 昨年約45万人が訪れた三浦海岸海水浴場の運営委員会も「普段の半分も来ていない」と嘆く。鎌倉市はツイッターで来場を呼び掛けるなどしており、関係者は梅雨明け後の巻き返しに期待を寄せている。

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