【やまゆり園事件3年】共生社会実現へ 教訓どう生かす

相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件から3年を前に、県主催の追悼式が22日、同市南区で開かれ、参列者は花を手向けて犠牲者を悼んだ。(代表撮影)

 相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刺殺され、26人が重軽傷を負った事件は26日で発生から3年がたつ。建て替え工事など園の再生に向けた準備が着々と進む一方、殺人罪などで起訴された元職員植松聖被告(29)の初公判は来年1月の期日がようやく決まった。関係者の記憶を掘り起こし、いかにして事件の真相に迫るのか。共生社会の実現につなげる上で不可欠な検証はこれからヤマ場を迎える。

 被告の公判は裁判員裁判で審理される。横浜地裁は4月、初公判の期日を来年1月8日に指定したと発表した。判決は本年度中にも言い渡される見通し。

 障害者を否定する発言を続けてきた被告は、公判でも自身の行動の正当性を主張すると、神奈川新聞社の取材に明言している。関係者によると、弁護側は、被告が事件直前に大麻を使った影響で精神状態が不安定だったなどとして、刑事責任能力の有無や程度を争うとみられる。

 事件現場となった園は建て替え工事が進む。県によると、東西の居住棟と作業棟は既に解体が完了し、今後は新築工事に移行する。利用者が仮移転している「芹が谷園舎」(横浜市港南区)周辺にも施設を新設。両施設とも2021年度中の利用開始を目指しており、県は6月、両施設の定員を各66人とする方針を示した。

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