朝鮮通信使「復元船」来航中止 対馬市民ら「非常に残念」

韓国の国立海洋文化財研究所が復元し、対馬に初来航する予定だった朝鮮通信使船(対馬市提供)

 韓国で復元された朝鮮通信使船の「対馬厳原港まつり」(8月3、4日)への来航が中止となったことを受け、長年にわたり草の根で日韓交流を進めてきた対馬市内の関係者からは25日、「非常に残念」と落胆の声が上がった。
 来航中止の知らせに、同まつりを主催する「厳原港まつり振興会」の小田貴裕会長(51)は「韓国の国内世論が影響したのだろう。政治と地域交流は切り離してほしかったが、これも日韓関係にほんろうされる国境の島、対馬の宿命なのか」とつぶやいた。
 対馬市によると、中止の連絡は25日午後、来航を企画した釜山市の外郭団体「釜山文化財団」側から電話であった。担当者は「(朝鮮通信使船を復元した韓国の)国立海洋文化財研究所との決定により、来られなくなった」と説明した。同まつりへの韓国側来賓約120人のうち、同財団の姜東秀(カンドンス)代表理事ら約70人の欠席が決まっているという。
 同まつりの前身から約40年にわたって朝鮮通信使行列を再現している「朝鮮通信使行列振興会」の庄野伸十郎名誉会長(75)は「こういう時代だからこそ民間交流は進めていくべき。復元船来航は中止になっても、行列は続けていく」と話した。対馬市の比田勝尚喜市長は「非常に残念。国家間の問題が早期に解決することを望むばかり」とのコメントを発表した。

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