長崎商 投打の主役 躍動

【準々決勝、長崎商―諫早農】1回表長崎商2死二、三塁、藤本が右前に先制の2点適時打を放つ=県営ビッグNスタジアム

 昨夏の涙を笑顔に変えるため、長崎商の投打の主役が躍動した。打っては5番藤本が初回に先制打、守ってはエース桝屋が7回無失点。西口監督は「夏は守備が長いと攻撃に集中できない。いい感じで次を迎えられるかな」とうなずいた。
 昨夏の準決勝。2番手で登板して逆転を許した桝屋が試合をつくった。この1年間は「あと一歩の悔しさを胸に、やれるだけのことをやった」。その積み重ねを一球一球に込めて七回まで散発3安打の力投。一度も三塁を踏ませなかった。
 攻撃では藤本が初回に右前へ2点適時打。1年前、先輩が敬遠されて回ってきた好機を含めて、無安打に終わった打者が気を吐いた。「今年は自分が打たないと勝てない」。チーム全体で徹底している「相手が嫌がる強く低い打球」を体現するように、逆方向にはじき返したボールは二塁手のグラブをすり抜けた。
 準決勝の相手は前回王者の創成館を倒してきた鎮西学院。勢いに乗っている難敵だが、まだ負けるわけにはいかない。「バックを信じて長商全員で勝ちにいく」(桝屋)、「乗っている。負ける気はしない。甲子園しかない」(藤本)。本当の笑顔を取り戻すまで、あと二つだ。

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