Grab社 ソフトバンク・ビジョン・ファンドから14.6億ドルを資金調達 事業領域の拡大へ

東南アジアで最も利用されるO2Oモバイルプラットフォームの1つであるGrab Holdings Inc.(以下、Grab)は、3月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)から14.6億ドル(約1,634億円)を新規に調達したと発表した。今回のSVFの出資を受け、Grabの現在のシリーズH資金調達ラウンドの合計調達額は45億ドル(約5,035億円)を上回る。同ラウンドの出資企業にはこのほか、トヨタ自動車やオッペンハイマーファンズ、現代自動車グループ、ブッキング・ホールディングス、マイクロソフト、平安保険、ヤマハ発動機などが名を連ねている。

Grabは調達資金を利用して、ユーザーへ対し提供できる日々の生活に欠かせないサービスを拡張し、アクセスや利便性の向上を目指し、東南アジアにおいて掲げたスーパーアプリのビジョンを推し進めてきた。今後、金融サービスやフードデリバリー、配送サービス、コンテンツ、デジタルペイメントなどの事業領域を伸ばし、新しいサービスを展開する予定。Grabのオープン・プラットフォームであるGrabPlatformを基盤とした新サービスには、HOOQとの提携を通じたオンデマンド・ビデオや平安好医生とのデジタルヘルスケア、衆安国際との保険サービス、ブッキング・ホールディングスとのホテルのオンライン予約サービスなどがある。

Grabは特に、オンデマンド交通サービス最大手として、同社が2輪車市場の60%、4輪車市場の70%の市場シェアを占めるインドネシアに対し、新規調達額の多くを投資する予定だ。調達資金を同国でのGrabFoodやGrabExpressの事業拡大、また新規事業の展開に利用する予定。また、Grabはインドネシアのオボ(OVO)及びトコペディアとの提携を通じて、インドネシアで最大のデジタルペイメント経済圏を形成している。

グループのほかの事業に目を向けると、ウーバーの東南アジア事業との合併以降、交通事業が大幅に成長し、昨年3月~12月の期間で売上がほぼ2倍となった。同時期に売上高が45倍に成長した、唯一の東南アジア地域全域におけるフードデリバリーサービス、GrabFoodは、現在6カ国199都市でサービスを展開している。Grab Financial Groupは昨年、東南アジア主要6カ国で電子マネーのライセンスを利用できる唯一のプラットフォームとなった。

今回の資金調達について、ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのパートナーのデイビッド・セベノン氏は、「今回の出資は、Grabが今後も東南アジアでオフライン・ツー・オンラインのプラットフォームを成長させ、オンデマンド・モビリティーや配送、金融サービスにおいて新しい刺激的な機会を開拓することをサポートするでしょう」と述べた。また、Grabのミン・マー社長は、「2019年も新たな投資機関からの関心を引き、さらに多くのグローバルな業界大手をパートナー企業として迎え入れることを楽しみにしています」とコメントした。

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