奪三振王の称号は誰の手に? 巨人の“4連覇”を止めるDeNA左腕に注目【セ編】

DeNA・今永昇太【写真:荒川祐史】

昨年まで菅野、マイコラス、菅野と巨人が3年連続奪三振王を獲得

 セ・リーグの奪三振王争いは、今季、新たな顔ぶれが参入して、混戦模様となっている。過去5年間のセ・リーグの奪三振王。率は奪三振率(9回当たりの奪三振数)

2014年 メッセンジャー(神)226奪三振(208.1回 率9.76)
2015年 藤浪晋太郎(神)221奪三振(199回 率9.99)
2016年 菅野智之(巨)189奪三振(183.1回 率9.28)
2017年 マイコラス(巨)187奪三振(188回 率8.95)
2018年 菅野智之(巨)200奪三振(202回 率8.91)

 過去5年、奪三振王は巨人、阪神の投手から出ていた。奪三振率は9前後。パ・リーグの奪三振王に比べればやや見劣りする。今季は過去5年で2回奪三振王になっている巨人の菅野が不振なこともあって、奪三振王争いは混戦気味だ。

○今季のパ・リーグ奪三振10傑

1 今永昇太(デ)128奪三振(119回 率9.68)
2 山口俊(巨)120奪三振(112.2回 率9.59)
3 大野雄大(中)110奪三振(115.2回 率8.56)
4 柳裕也(中)101奪三振(109.1回 率8.31)
5 大瀬良大地(広)95奪三振(109.2回 率7.8)
6 ジョンソン(広)84奪三振(94回 率8.04)
7 小川泰弘(ヤ)81奪三振(99回 率7.36)
8 ロメロ(中)80奪三振(88.1回 率8.15)
9 菅野智之(巨)79奪三振(89.1回 率7.96)
10 西勇輝(神)74奪三振(110.1回 率6.04)

左腕の奪三振王が誕生すれば2012年の杉内、能見以来、7年ぶり

 DeNAの左腕今永が128奪三振で1位だが、8差で巨人の山口が追いかけている。3位の中日、大野までは射程圏内だろう。今永の奪三振率は9.68とリーグトップの数字を残しておりこのペースでいけば、200奪三振超えも見えてくる。

 今永が奪三振王になれば、左腕投手としては2012年の杉内俊哉(巨人)、能見篤史(阪神)以来(ともに172奪三振)7年ぶり。またDeNAの奪三振王は、横浜時代の2005年の三浦大輔、門倉健(ともに177奪三振)以来14年ぶり。

 山口が奪三振王になれば、巨人が4年連続でタイトルを獲得することなる。

 交流戦でパが強いのは、三振をたくさん奪うことができるパワーピッチャーが多いからともいえる。昨年、100イニング以上投げた投手で、奪三振率が9を超す投手はセ・リーグはDeNAの東1人だったのに対し、パ・リーグはソフトバンクの千賀(10.40)、楽天の則本(9.33)、岸(9.00)と3人いた。

 奪三振率が10を超える奪三振王は、セでは2004年の井川慶(阪神10.24)以来出ていない。井川も左腕だった。ペナントレースで厳しいつばぜり合いを演じているDeNA、今永はエースとしてどれだけ三振数を積み上げるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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