FIA欧州格式選手権として、ヨーロッパで絶大な人気を誇るETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第4戦がドイツ・ニュルブルクリンクで開催され、地元ドイツ出身の“帝王”ヨッヘン・ハーン(Hahn Racing/IVECO)が土曜レース1、そして日曜レース3で盤石のポール・トゥ・ウイン。そしてここまで未勝利の続いた2017年王者アダム・ラッコ(Buggyra Racing/Freightliner)がレース2で復活の勝利を飾っている。
シリーズ最大の1戦として、欧州各地からトラッカーたちの集う“祭典”として知られるETRCニュル・ラウンドは『The ADAC Truck Grand Prix』と銘打たれたとおり、予選から地元ドイツ勢が躍進。そのなかでもシリーズ記録となる自身6度目のタイトル獲得を目指すハーンが周囲の期待どおり幸先良くポールポジションを獲得し、ここまでの開幕3戦と同様に週末”ダブル”を達成できるかに注目が集まった。
その期待と重圧のかかったレース1では、ハーンのIVECOが1コーナーでホールショットを決めると、2番手アントニオ・アルバセテ(Trucksport Lutz Bernau/MAN)を完璧に抑えきるマネジメントを見せ悠々今季7勝目をマーク。
ファステストを記録しながら惜しくも0.6秒差で2位に続いたアルバセテの後方には、ノルベルト・キス(Tankpool24 Racing/Mercedes-Benz Trucks)が続き、表彰台はドイツ、スペイン、ハンガリーの国際色豊かな顔ぶれとなった。
続く土曜のレース2はセミリバース・グリッドとなり、R1で8位だったアンソニー・ヤニエック(Lion Truck Racing/MAN)がポールからの発進に。しかしオープニングラップでは、そのヤニエックがフロントロウに並んだホセ・ロドリゲス(Reboconort Racing Truck Team/MAN)と絡み、2台がグラスエリアにタイヤを落として姿勢を乱し大きくドロップすると、その背後3番グリッドにつけていたラッコが労せずしてトップランを手にすることに。
今季ここまで不調に喘いでいたチェコのエースとFreightlinerも、先頭に躍り出れば状況は一変。13周のレース全域にわたって2番手ロドリゲスとのギャップをコントロールすることができ、待ちに待った今季初のトップチェッカーを受けた。
「シリーズ最大の1戦で復活の勝利を挙げることができて本当に特別な気分だ。良いスタートを切ったけど、前の2台がワイドになったりグラスエリアをカットしたりしていたので、戻ってきたトラックに当たらないよう細心の注意を払った。そのあとも、とにかくマージンを守ることに集中したよ」と、安堵とともに喜びを語ったラッコ。
その背後につけていたロドリゲスだが、レース終盤にサッシャ・レンツ(SL Trucksport/MAN)、ハーンの急襲を受け、レンツはターン1のアウトから豪快に並びかけると、続く左コーナーでインを差し華麗なオーバーテイクを披露。ハーンもそれに続き、王者は2戦連続の表彰台を獲得。
さらにロドリゲスの受難は続き、最終ラップ残り数コーナーということろでアルバセテにも捕まり、5番手でフィニッシュラインを通過することとなった。
明けた日曜のレース3に向けても、王者ハーンが今季7度目のポールから8勝目を獲得。1コーナーのブレーキング競争で6番グリッドから2番手にジャンプアップしていたシリーズの紅一点、シュティフィ・ハルム(Team SchwabenTruck Racing/IVECO)は、地元ドイツの大歓声を受けて同郷のチャンピオンを追走したものの、2度の最高速度違反でタイムペナルティが加算され大きくドロップ。アルバセテとラッコが前日に続くポディウムに上がった。
そして週末最終ヒート、レース4はリバースのフロントロウ発進だったメルセデスのキスが、5周目にアンドレ・クルシム(Don’t Touch Racing/IVECO)をかわし、今季2勝目を飾っている。
続くETRC2019年シーズンの第5戦は、今回復活勝利を飾ったラッコの地元チェコ共和国のモストを舞台に、8月31日~9月1日の週末に争われる。