芸術で平和発信 ナヘア開幕 広島市出身の歌手が鎮魂歌披露

長崎平和音楽祭で歌声を響かせる中川さん=長崎市平和会館ホール

 長崎原爆が投下された8月にかけて、被爆地長崎で地元作家や子どもらが平和を発信する複数の芸術イベント「長崎平和アートプロジェクト(ナヘア)」(米村昭彦代表)が27日、開幕した。長崎市内では第34回長崎平和音楽祭が開かれ、多彩な楽曲に乗せて平和のメッセージが響いた。
 ナヘアの開催は昨年に続き2回目。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(同市平野町)であったオープニングの式典は、関係者ら約110人が出席し午前11時2分に黙とう。米村代表のメッセージを山下昭子副代表が代読し「アートとハートをつないで芸術活動を広げていきたい」と述べた。
 平和会館ホール(同)であった音楽祭は、被爆3世で広島市出身のソプラノ歌手、中川詩歩さんが鎮魂歌「ピエ・イエズ」「平和の祈り」などを披露。「祖母は広島原爆で被爆したが、命が助かったおかげで自分は長崎で舞台に立てている。今日は祖母の命日。命の大切さを思い、心を込めて歌いたい」と話すと、約200人の観客から大きな拍手が湧いた。
 ステージでは小浜ジャズオールスターズがジャズのスタンダードナンバーを華やかなアンサンブルで演奏。昭和から平成の時代を「上を向いて歩こう」「花は咲く」などのヒット曲で振り返るプログラムもあった。

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