願い込め、登る金時山 「金太郎展見に来て」 箱根

企画展の成功を願い、金時山の登頂を続ける杉山さん(本人提供)

 箱根ラリック美術館(箱根町仙石原)で23日に始まった企画展「箱根の山の金太郎」の成功を願い、山に連日臨むスタッフがいる。広報担当の杉山茜さん(40)は「金太郎伝説」で知られる金時山(同町など、標高1212メートル)に登ること80日超。杉山さんは「目標は100日。多くの人に展示を見に来てほしい」と意気込んでいる。

 金時山は、坂田公時(金時)が幼いころに動物と相撲をとって遊び、大きな石に仮住まいしたという伝説が残る山。同館が浮世絵を所蔵していることから金太郎をテーマにした企画展を準備する中、登山が趣味の杉山さんは「今までにないPRをしたい。毎日登ればインパクトがある」と願掛け登山を発案した。

 新元号となった5月1日からスタート。同館近くの登山口を毎朝、ほぼ午前5時台に出発し約1時間かけて登り、ふもとにある公時神社や山頂の神社で「多くの人が企画展を訪れますように」と祈願する。50回目といった節目には、学芸員ら他のスタッフも参加して汗を流す。

 登山客にも施設を知ってもらい来館を促そうと、杉山さんは展示を知らせるポスターパネルを片手に抱え、山道を進む。わが子の弁当を作るなど母親業もこなしながらの毎日だが、「頑張って」「展示、見に行くよ」と登山客から声を掛けられることが励みだ。

 100日達成となる予定の8月8日までは願掛けを続けるという杉山さん。「金太郎は力持ちで、時代を超えて親しまれるキャラクター。大人になってからの活躍も知ってほしい」と来館を呼び掛けている。

 9月23日までの企画展では、平安中期の武将・源頼光に四天王として仕えて大グモを退治する様子などが描かれた浮世絵のほか、熊のはく製など金太郎にちなんだ約85点を紹介している。

 開館時間は午前9時から午後5時まで。入館料は大人1500円、小中学生800円。問い合わせは、同館電話0460(84)2255。

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