感覚過敏の特徴がある人に配慮するため、特定の時間、音や光を緩和する「クワイエットアワー」が28日、川崎市麻生区の商業施設で試行された。国内ではスポーツ施設での実践例はあるものの、商業施設としては初めて。市は効果を検証し、定期的な実施も視野に「市内の商業施設に広げていきたい」としている。
感覚過敏の特徴がある人の中には、店舗の音や光、臭いなどが原因で買い物に行くことをためらうケースがある。発達障害の一つとされ、クワイエットアワーはそうした人に安心して買い物をしてもらうため、店内の照度を下げたり、BGMを消したりして苦痛を和らげる取り組みだ。
市によると、英国やオーストラリアでは導入が進んでいる。市は、市内で進める共生社会づくりの活動「かわさきパラムーブメント」の一環として、クワイエットアワーに着目。市内の商業施設に協力を働き掛けた。
今回試行したのは、同市麻生区の「イオンスタイル新百合ケ丘」。28日午前9時から1時間、1階食料品・日用品売り場の照明を2~5割程度緩和し、店内BGMをカットしたほか、感情やストレスが高まった際に落ち着けるスペース(カームダウンエリア)を設置した。
市オリンピック・パラリンピック推進室の担当者は「見た目には分かりづらい障害で生活に困っている人がいるということを知るきっかけにしてもらいたい」と話している。