登山靴もいろいろあるけど、歩き方も変えないとダメ?
登山用品店の一角に整然と並ぶ「登山靴」。数ある登山道具の中でもとりわけ種類の多いアイテム。その外見からも形状の違いが確認できます。
シーンに合わせて異なるスペックを有する登山靴ですが、どのような特徴や違いがあるのでしょうか?今回は“靴の形”に注目し、それぞれの違いを探っていきたいと思います!
山道具のプロに聞いてみた
道具のことはプロに聞くのが一番!山道具の専門店「Mt.石井スポーツ登山本店」の靴売り場担当・荒井さんに詳しくお話を伺ってきました。
これから登山靴の購入を考えている人も、既に持っている人も参考にしてみてください。
足首代表的な3つのカット
一口に登山靴といっても「トレッキングシューズ」や「ハイキングシューズ」など、本当にたくさんの種類がありますよね。メーカーも用途に応じて作り分けているため、厳密な分類をすることは非常に難しいアイテムなんです。
しかし、靴のカット(足首の部分)に注目すると大きく分けて3つのタイプに分類することができるんです。
【ローカット】
足首を覆うものがなく、全体的に非常に柔らかい作り。窮屈感がなく、普段履いているスニーカーのような感覚で履けることが大きな特徴。
長距離の山歩きではなく、キャンプや旅行先での散策に最適。
【ミドルカット】
ハイカットモデルとさほど変わらない丈があり、ローカットよりも足首に固定感のある作り。全体的には柔らかく、登山初心者でも履きやすいのが大きな特徴。
デイパックで行ける日帰り登山やフェスなどにおすすめ。
【ハイカット】
全体的に硬く重量があり、足首をしっかりと固定してくれる作り。
岩場や急斜面でも安定感のある歩行ができるので、長時間の登山やハードな登山道を歩く時に向いています。
靴の高さ:
- ローカット: くるぶし以下
- ミドルカット: くるぶしが隠れる程度
- ハイカット: 足首がしっかり覆われる
ソールの硬さ:
- ローカット: 柔らかい
- ミドルカット: 柔らかい
- ハイカット: 固い
ねじれ剛性:
- ローカット: △
- ミドルカット: 〇
- ハイカット: ◎
【結論】どんな靴でも山の歩き方は基本的に同じ
なんとも企画倒れになりそうな情報ですが、山での歩き方で意識することは、登山靴の種類に限らず基本的には同じなんです!
【歩幅】
歩幅はなるべく狭く、細かく歩くことが基本。登りの時に大きな段差がる場合でも、直登ではなく回りこむように歩いた方が疲れにくいです。
【足の置き方】
なるべく平な部分を選び、足裏全体を置く「フラットフッティング」を意識しましょう。踵から着地するのではなく、足裏全体で地面を捉えるのがコツ。地面とソールがしっかりと密着することで、グリップ力が発揮され滑りにくくなります。
【重心】
山での歩き方の基本姿勢は、頭から背中にかけてまっすぐにすること。靴底の中心に重心を置いて、足裏全体を使うイメージです。
基本は同じですが、やはり形状の違いによる注意点は異なります。それでは各モデルの特徴を見ていきましょう!
ハイカットの歩き方|特有の硬さに注意!
撮影:YAMA HACK編集部
ハイカットシューズは長時間山行を想定して作られているので、本当に「硬い」です。靴全体が硬いので、スニーカーなどと同じ歩き方はできません。
石や木の根っこなど、不安定な場所に乗った時でも、ねじれや突き上げが少なく、一番負荷のかかる足首を保護してくれます。
歩幅を狭く、常にフラットフッティングの意識を
そのため、普段の歩幅で踵から着地すると、足首が曲がりません。無理に歩いてしまうと、靴の中で足が固定されているため、踵が擦れて靴擦れを起しやすいんです。
可動域が少ない分、歩幅を狭くするフラットフッティングをより意識してください。目安は普段の1/2程度。歩幅を小さくし、ゆっくり歩くことで踵への負担も軽減されます。
ローカットの歩き方|こっちは柔らかさに注意!
ハイカットモデルと対照的なのがローカットモデル。非常に柔らかい作りなので、スニーカーなどに非常に近い感覚です。
裏を返せば「フラットフッティングを意識しなくても歩ける」ということ。ある程度は踵からついても大丈夫ですが、足裏全体を使う意識を持ってソールのグリップをしっかり使いましょう。
蛇行してでも平らな場所を選ぼう
足首への拘束がない分“歩きやすさ”はありますが、不安定な場所に乗ってしまった際には、足首に負担をかける可能性が高いです。
なので、山道ではなるべく平らな道を選ぶことを意識しましょう。蛇行してもいいので、段差の低い所を選ぶのがコツ。
ミドルカットの歩き方|扱いやすさに油断しては駄目!
ミドルカットは「ローカットの柔らかさ」と「ハイカットの保護性」を有するハイブリッドモデル。
靴全体が柔らかく作られているので、ローカットに近い歩き方ができことが大きな特徴です。
歩きやすいからこそ
撮影:YAMA HACK編集部
無意識に普段と同じ歩き方になってしまいがちですが、くるぶしまで覆われているとはいえ、ハイカットほど足首を固定するわけではありません。
踵から着地するような動きができるからこそ、油断をせずフラットフッティングを意識してください。
買うならどれがいい?
登山靴は登る山によっても変わってくるので、「これ一足でOK!」とはなかなか言えないものです。山域や日数などで選び方が変わってきます。
一番大事なのは、自分が登りたい山のイメージを持つこと。どんな山に登りたいのかを考え、登山用品店のスタッフに相談しましょう。
▼初めての登山靴選びの詳細はこちらの記事へ
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靴のタイプに合わせて意識を変えよう!
多数ある登山靴の中でも代表的な3つ種類の違いについて教えていただきました。基本的な歩き方は同じですが、それぞれの特性に応じて注意するべき点は異なります。
自分の山行スタイルに合った最適な登山靴を見つけ、使いこなせるように以下を意識して練習してみてください!
【ローカット】
より平らな所、緩やかな所を選ぶ意識【ミドルカット】
歩きやすさに油断せず、フラットフッティングを意識【ハイカット】
歩幅を狭く、とにかくフラットフッティングを意識