豊作願う「虫送り」 たいまつ手に80人が参加 伊勢原 動画

たいまつを手に歩き、豊作を祈願する子どもたち=伊勢原市日向、2019年7月28日撮影

 伊勢原市日向の水田で28日夜、農作物の害虫を追い払い、豊作を祈願する伝統行事「日向の虫送り」が行われた。地元住民や、横浜市内から訪れた保育園児ら約80人がたいまつを手にあぜ道を歩き、燃えさかる炎を前に秋の収穫を心待ちにした。虫送りは近年、農薬の普及などにより行われなくなっていたが、地元のNPO法人「伊勢原森林里山研究会」が3年前に伊勢原市日向地区で復活させた。ことし6月には同法人や地域有志でつくる「日向虫送り保存会」が発足し、行事の主催を担った。

 一行は、午後6時半ごろに日向神社(同市日向)を出発。山伏姿の宝城坊神木(しぎ)のぼり保存会の会員が先導した。参加者は拍子木やほら貝の音が響く中、長さ約1~3メートルのたいまつを手に夕闇の中を約1キロ歩いた。最後に広場でたいまつを燃やし高く上がった炎を囲んで、ことしの豊作を願った。

 同法人理事長の山口寿則さん(66)は「地域に根付いた行事として保存されてほしい」と願う。保存会の佐々木康剛会長(41)は炎を見つめながら、「多くの方に参加してもらい、感謝している。行事が復活して感慨深い。来年以降も実施し、定着できるようにしていきたい」と語った。

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