樹齢250年 枯死で天然記念物を解除 益田家のモチノキ

(左から)2019年4月に撮影されたモチノキ、2015年4月に撮影されたモチノキ

 樹齢約250年で地域に親しまれてきた「益田家のモチノキ」(横浜市戸塚区)について、県教育委員会は30日、県指定天然記念物の指定を解除すると発表した。樹勢回復と倒木回避に向け移植して保全を試みたが、すでに枯れており回復の見込みはないと判断した。県指定天然記念物の指定解除は9年ぶり5件目。

 県教委によると、江戸時代から伝わる同モチノキは「かながわの名木100選」にも選ばれ、地元に親しまれてきた。しかし立地場所が国道1号沿いだった上、造成に伴って木の周囲が石垣で仕切られるなど生育環境が悪化。所有者の意向を受けて昨年4月に約30メートル離れた場所に移植し、樹勢の回復を目指していた。

 しかし、同年9月ごろから葉が落ちるなど深刻化。今年4月にはすべての葉が落ちていることが確認された。樹木医が6月に診断したところ、「完全に枯死しており、回復の見込みはない」ことが判明した。

 県の天然記念物指定は1981年で、今月25日に県文化財保護審議会が「解除」を答申。解除は鶴岡八幡宮(鎌倉市)の大イチョウ以来で、強風に伴う倒木以外の理由は例がないという。同モチノキを巡っては、2017年に幹の一部を無断で伐採した業者が県文化財保護条例違反罪に問われる事案も起きていた。

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