切り子灯籠作り ピーク 島原

ピークを迎えている切り子灯籠作り=長崎県島原市、マルイチ葬祭作業場

 お盆の精霊流しを前に、長崎県の島原市内で精霊船に飾り付ける「切り子灯籠」の製作がピークを迎えている。

 島原伝統の切り子灯籠は、白と青が基調色。和紙を貼った多面体の木枠に造花などの装飾品を取り付け、面の4カ所に家紋を貼り付ける。初盆を迎えた家庭で飾られ、15日に精霊船に飾り付けて流す光景は島原の夏の風物詩になっている。

 島原の精霊流しについては、1637年の「島原の乱」後、島原藩の領民がキリスト教への信仰を隠すため、豪華な船を流すようになったと伝えられ、灯籠作りは約380年の歴史があるともいわれる。

 島原半島内に4社あるという製造会社の一つ、マルイチ葬祭(坂上町)は約7千個を作る予定。ミニサイズから最高級まで4種類あり、弁天町1丁目の作業場では、社員、アルバイトを含め約40人が、木枠の組み立てや造花の飾り付けなど一連の作業に追われている。

 同社の森本久浩社長(55)は「精霊船は年々減ってきているが、これからも島原の伝統文化である切り子灯籠を作り続け、次世代に伝えたい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社