ヴィーガン食品で駅ナカ攻勢、「ビオセボン」13店舗目の新戦略

フランス発のオーガニックスーパー「ビオセボン」が、駅ナカ初出店となる新店舗を7月末にオープンさせました。東京メトロ・明治神宮前(原宿)駅構内にあり、商業施設「明治神宮前メトロピア」に立地しています。

オーガニックの弁当や総菜、スイーツなどを手軽に購入できる店舗で、ヴィーガンに対応したオリジナルのサンドイッチを新たに投入しています。はたして駅ナカでヴィーガン食材は売れるのか、メディア向けの内覧会の内容から探ります。


商品を絞り込んだ小型店舗

イオンとビオセボンの親会社が共同出資して設立した会社「ビオセボン・ジャポン」は、2016年に麻布十番店を皮切りに日本国内での展開を始め、2019年2月にはイオン創業家出身の岡田尚也氏が社長に就任。今回オープンした明治神宮前メトロピア店は13店舗目となります。

ビオセボンは、オーガニックの生鮮食品や加工品の豊富な品ぞろえが特徴。岡田社長は内覧会で、「日常的にオーガニックを使っていただけるようなお店を作っていきたい」とコンセプトを説明します。

新店舗の敷地面積は、約30坪弱と通常店舗と比べて小型。通勤時に野菜を買うニーズがあるとにらみ、オーガニック野菜の商品数は絞りつつ、ケールなどの象徴的な野菜でビオセボンらしさを表現したそうです。

ドライフルーツやナッツ類を量り売りする「バルクコーナー」も、同様に種類を絞って用意。その代わりに、購入しやすい小分けの袋入りの商品を充実させています。

ヴィーガン対応のサンドイッチ投入

岡田社長は「地下鉄構内の店舗は惣菜などのデリカ、即食のニーズがより高い」と見込みます。店舗面積が狭く店内調理の機能がないため、デリカ商品はアウトパックによる提供となりました。

同店のオープンに向けて、岡田社長の「強い思い」で商品開発したというのが、ヴィーガン対応のサンドイッチです。

「ヴィーガン食品のニーズは非常に高まっています。われわれのサンドイッチはたまご、ツナ、ハムと全部動物性だったので、今回『ヴィーガンサンド』として野菜・豆類を中心としたサンドイッチを作りました」

以前からビオセボン・ジャポンのInstagram アカウントでは、ヴィーガン食品に関する投稿に対する反応が通常の投稿に比べて良かったといいます。また、店内調理を担当しているヴィーガンのスタッフから「私も食べられるものが欲しい」という要望があったそうです。

「ヴィーガン食品は一時的なトレンドだけでなく、実際のニーズがあります。しかし、普通のコンビニやスーパーでは、ヴィーガン食品は入手しづらい」と、岡田社長は現状を分析します。

ヴィーガンサンドを食べてみた

今回発売した「8品目のヴィーガンサンド」は、タマネギ、ニンジン、リーフレタス、キヌア、大豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆を使用。価格は498円(税別、以下同)です。

購入してかぶりついてみると、タマネギのピリリとした辛味と、有機全粒粉パンの香ばしさが口内に広がりました。豆乳マヨネーズを使っているので、一般的なサンドイッチよりさっぱりした味わいですが、事前の想定より違和感はありません。豆類が多く入っているせいか、見た目よりお腹にたまります。

オランダから空輸しているという、ココナッツミルクから作ったデザート「ハッピーココグルト」も試してみました。牛乳をいっさい使わず、ヨーグルトのように仕上げたヴィーガン仕様の商品で、価格は598円です。

見た目はヨーグルトにそっくりですが、感じられるのはココナッツの甘み。本物のヨーグルトのような、さわやかな酸味もあります。ハッピーココグルトは、ビオセボンで以前から販売していますが、入荷してすぐに売れていく人気商品だといいます。

原宿は外国人が多く訪れるエリアのひとつ。「外国人客の構成率が一番高い店舗になるかもしれない」と岡田社長は期待を寄せます。

8月には14店舗目となる町田東急ツインズ店のオープンを予定するなど、店舗数の拡大を続けるビオセボン。日本ではまだハードルが高いイメージのオーガニックの商品を身近な存在にできるか、駅ナカ店舗の成否が今後を占うカギとなりそうです。

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