おすすめ「エンディングノート」 記者が書き方講座に参加

自分の法定相続人を明確にするメモを、自己責任で添付

 横浜市内の各区は、人生の終幕を見据えて自分の意思を書き留める「エンディングノート」を作成し、区の高齢・障害支援課や地域ケアプラザなどで区民への配布を始めている。記者が一つのノートを試したところ、項目別で書きやすい構成だが、場合によっては自分の法定相続人も明確にする必要があると感じた。書き方講座があれば、参加もお勧めだ。

 記者(58)=既婚・子どもなし=にはここ数年、学生時代の友人の訃報(急病や交通事故)が増えた。万一に備え「終活」の一環として自分の意思を書き留めたいと考え、都筑区が作成したエンディングノート「わたしのみちしるべ」を使うことにし、同区主催の「書き方講座」にも参加させてもらった。

 各区でデザインは違うが、書く内容に差はなく、大きく三つに分かれる。一つ目は「自分自身」。名前と生年月日、住所、本籍地、今までの歩み、親戚や友人の連絡先、持病や主治医など。二つ目は「資産」で、収入の振込や預貯金がある銀行と支店、保険や有価証券、不動産の有無と扱う会社の名前など。金額と口座や証券などの番号は、悪用を防ぐため記入しない。

 三つ目は「終幕の時の希望」で、介護や終末医療、葬儀、墓などの意思や、費用準備と後見人の有無を書く。質問に答える形式で、記入しやすくできている。

 書き方講座では行政書士が講師を務め、「人生を船に例えると、エンディングノートは乗組員(家族)のための羅針盤」とし、「自分のことを考え、大切な人に意思を残すきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。

 記者が気になったのは、資産の項目にある「相続・遺言」の欄。「遺言書を作成していますか」の問いで「していない」を選ぶと、それ以後の質問は全て空欄となる。エンディングノート自体には法的効力はなく、遺言書がない場合は民法で定められた法定相続人が相続分に従って遺産を分けるとの説明がある通り、自分の法定相続人は誰かを確認しておくことが大切だ。記者の法定相続人には別世帯の兄姉もいる。それを妻に伝える必要があり、相続欄で使わない部分にメモで書き加えた。こういう気付きもノートのおかげ。

 講座には定員いっぱいの100人が受講し、関心の高さがうかがえた。区内の男性(70)は妻(67)を誘って参加し、「元気なうちに夫婦で準備しておきたい」。夫婦で書き方を学び、互いのノートを見せ合うのも良い終活と思った。

 エンディングノートと関連の講座や催事は、各区の高齢・障害支援課が問い合わせ窓口となっている。

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