日本の台頭する洋服ブランド「ユニクロ」は世界的にも有名ですが、そのユニクロが様々なサスティナブルなプロジェクトを実施し、世界中の人々を支援しているということはご存知ですか ?
ユニクロが実施している「全商品リサイクル活動」は、2018年8月末の衣料寄贈点数は65ヶ国30,290,000点以上となり、アフリカやアジア、中東を中心に難民や避難民、災害被災者、妊産婦や母子など社会的支援が必要な人々に届けられています。
今回は、サスティナブルな取り組みを行うユニクロの活動についてご紹介します。
■衣類を送るだけじゃない!自立への道のりもサポートする難民支援
・「未来」を考えた自立支援プログラム
ユニクロでは2018年現在インド、イラン、マレーシア、ネパール、パキスタンのアジア5ヶ国で、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を通じた自立支援プログラムを行っています。
縫製技術やパソコン操作などの職業訓練、起業のための経営知識の研修、在宅ワークなどをサポートしており、これにより多くの難民が経済的自立や安定した生活を手に入れています。
ユニクロは3年間に渡り1000万ドル(日本円に換算して10億8675万円/2019年7月28日時点)を支援しており、そのうち550万ドル(5億9771万2500円/2019年7月28日時点)がこの自立支援プログラムに充てられています。
・今までに実施された難民女性の自立支援プログラム
これまで行われた難民女性の自立支援プログラムがどのようなものだったのか、ご紹介します。
2016年
フランスの高級ブランド「オランピア・ル・タン」とコラボし、トートバッグに付けるワッペンの刺繍を難民女性に担当してもらうプロジェクトを実施し、限定販売された2,000個は完売し、その売り上げはUNHCRを通して難民の自立を支援する活動に充てられました。
2017年
刺繍作家の小林モー子氏が難民女性の明るい未来を願って「HOPE」の文字を入れたオリジナルチャームを制作。刺繍は難民女性が担当し、「世界難民の日」に不要になった子ども服を持参してくれた方にプレゼントしました。
2018年
難民自立支援プログラムの一環としてアフガン難民、国内避難民、帰還民の女性達によるハンドメイドのオリジナルチャームを制作。子ども服のリサイクル回収を促進するキャンペーンにて配布しました。縫製や刺繍技術の向上を促し、女性の自立を支援する取り組みです。
・世界の難民雇用に積極的に取り組むユニクロ
国内のユニクロ店舗では、日本で難民認定を受けて定住が認められた難民とその家族を対象に、難民雇用を積極的に進めています。
受け入れ人数の拡大を図るため、店長やトレーナー役となるスタッフに難民への理解を深める研修も実施しています。2018年10月末時点で国内の店舗では55名の難民が勤務しており、アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ、フランスの店舗でも難民雇用を進めています。
紛争や人権侵害などから命を守るために国を出て難民という立場におかれた人々に対し、それぞれの国の文化や宗教など様々な事情に配慮しながら、受け入れる側の体制もしっかり考えられた取り組みとなっています。
■Clothes for Smiles~途上国の女の子の未来を明るくする「女子サッカープロジェクト」
2012年、ユニクロはプロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ氏と「Clothes for Smiles」と言うプロジェクトを共同発案しました。
これは、10億円規模のファンドを設立し、これからの未来をつくる世界中の子どもたちのために様々な夢と希望を提供していこうというプロジェクトです。
このプロジェクトは、カンボジアでの図書館建設を目的とした「図書館プロジェクト」、命を脅かす病気と闘う子どもとその家族をサポートする「子どものホスピスプロジェクト」、東日本大震災の影響で遊び場が足りない石巻市の子どもたちのために作られた「UNIQLO DREAM WALL」など様々なものがあります。
今回はその中から途上国の女の子を対象にした「女子サッカープロジェクト」についてご紹介します。
・サッカーだけでなく、身近にある問題とも向き合う「女子サッカープロジェクト」
バングラデシュ、ガーナ、ジンバブエの女の子達は、貧困やその地域に根付いている慣習の影響で、教育や保健医療などが満足に受けられない現状があります。
その問題に対し、公益財団法人「プラン・インターナショナル・ジャパン」の「女子サッカープロジェクト」はサッカーを通して多くの仲間たちと触れ合い、同じ目標に向かって努力するという貴重な経験と、社会の規律を身に付けることができる内容となっています。
このプロジェクトの素晴らしさはサッカーだけでなく、女の子の権利に関する意識啓発活動や、理数科目・情報技術に関するキャンプなども実施されているという点が大きくあります。
ジンバブエで行われたガールズキャンプでは13歳~16歳の女の子36名が参加し、そこではサッカーだけではなく「思春期の性と衛生習慣について」や「早すぎる結婚」「薬物乱用の危険性」「児童虐待」などをテーマにしたライフスキルトレーニングが実施されました。
ソーシャルワーカーや保健体育の教員、医師、警察といったそれぞれの専門家が講師を務め、具体的な事例や対策、相談先などを教えるなど、女の子達が抱える不安や疑問とも向き合う時間を設けました。
その中でも、「早すぎる結婚」のセッションは教育・健康・コミュニティ・自分自身に与える影響について話し合い、
「中途退学することで十分な教育を受けられず正規の仕事に就けない」
「母体が未熟なために命を落としたり、子どもに障がいが残ったりする可能性がある」
など様々な意見交換が行われました。
これにより女の子自身はもちろん、男の子や周囲の大人の意識にも変化が見られ、中途退学率もわずかながら改善されたという具体的な成果も見られました。
タブー視されがちな問題としっかりと向き合い、正しい知識を得る、という教育において大変重要な取り組みだといえます。
住んでいる地域の紛争や人権侵害、また閉鎖的なエリアで根付く慣習などの影響から、女性の自立がなかなか進まない国が未だに多数存在します。
しかしこれは途上国だけの問題ではなく、先進国とされる国々でも女性の地位向上が著しいという現実もあります。
世界を知り、正しい知識を身に付けることは、女性の自立や就職率の向上、そして地域の発展にも繋がっていきます。こういった機会を世界の隅々にまで広げ、女性の権利や健康を守れる社会を当たり前なものにしていくことが大切だといえます。