京アニ悲劇繰り返さない ガソリンの販売手続き厳しく

ガソリン販売時の協力について川村和篤所長(左)に説明する、和歌山県田辺市消防本部の職員=1日、和歌山県田辺市稲成町で

 「京都アニメーション」の放火殺人事件を受けて和歌山県の田辺市消防本部は、管内のガソリンスタンドに対し、携行缶などを持参してガソリンを購入する人に目的や身元などを確認するよう呼び掛けている。販売時の手続きを厳しくすることで、犯罪を未然に防ぐ狙いがある。

 事件は7月18日、京都市伏見区のアニメ製作会社「京都アニメーション」第1スタジオに男(41)=さいたま市=が放火したとされる。携行缶を持参してガソリンを購入し、建物内でまいたとみられ、35人が死亡した。

 事件を受けて消防庁は7月25日、ガソリンの販売方法について、業界団体を通じて全国の事業所に要請。消防法令に適合した容器を使っているかや、購入者の身元を確認し、使用目的を尋ねて販売記録を作るよう求めた。

 消防庁は都道府県を通じて各消防本部にも連携を通知。田辺市消防本部でも、管内にある53カ所ほとんどのガソリンスタンドに職員が出向き、直接協力を呼び掛けている。ガソリンを携行缶などに入れて販売する際は、身分証の確認や使用目的の問い掛け、販売日時や販売量といった記録を作るよう求める文書も作成した。

 1日には、市消防本部予防課の職員2人が田辺市稲成町のガソリンスタンド「JA紀南オアシス稲成SS」を訪問。文書を川村和篤所長(41)に手渡し、取り組みについて説明した。

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