故障で選抜辞退、無念ばね 高校総体少林寺拳法・片伯部さん(延岡工)

少林寺拳法女子団体演武に延岡工高メンバーとして出場した片伯部ひなたさん(左)。先輩の励ましの言葉を胸に力強い技を披露した=2日午後、宮崎市・KIRISHIMAツワブキ武道館

 「迷惑を掛けたみんなのために」。宮崎市のKIRISHIMAツワブキ武道館で2日始まった全国高校総体「南部九州インターハイ」少林寺拳法。女子団体演武に出場した延岡工高2年、片伯部ひなたさん(16)は気迫のこもった動きを見せた。自らの故障でチームが全国選抜大会出場を逃した悔しさをばねに、努力を重ねてきた。
 競技との出合いは高校入学時。部活動紹介で先輩の姿に魅了された。白帯を締め、当初は練習についていくのもやっと。「帯の色が変わるたびに成長を実感できる」と夢中になった。
 昨年の新チーム発足時、メンバーは片伯部さんを含め6人。団体演武の人数ぴったりだったが、その分、結束力は強かった。九州の頂点に立ち今年3月の全国選抜出場を決めると、日本一を目標に稽古してきた。
 そんな中、アクシデントが襲う。大会前の1月、練習中に右足の親指近くを骨折。歩くことすら難しくなり、先輩らに、試合に出られないことを涙ながらに打ち明けた。補欠がいないため全国選抜は辞退せざるを得ず、「悔しさと、申し訳ないという気持ちでいっぱいになった」と振り返る。
 失意のどん底にいたが、後藤桜主将(18)が声を掛けてくれた。「一番の目標はインターハイ。そこで勝ち上がれるように練習しよう」。再び前を向き、チームのために演武の時間を計り、足を使わずできる腕、腰の動きを練習してきた。完治後は必死に稽古を重ね、県総体は僅差で準優勝。地元開催で与えられた2枠目で全国切符を手にした。
 チームはこの日の予選を突破し、3日の準決勝に進んだ。片伯部さんは「先輩の励ましの言葉を信じ、目標だったインターハイで演武ができた。先輩と一緒に一日でも長く楽しみたい」と話していた。

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