「野手が登板し、投手が外野から補殺」―MLBで前代未聞の“珍事”!? 投手の奮闘が話題に

左翼の守備に就いたフィリーズのビンス・ベラスケス【写真:Getty Images】

延長14回から左翼に入った右腕ベラスケスが「補殺&レーザービーム送球&ダイビングキャッチ」

■Wソックス 4-3 フィリーズ(日本時間3日・フィラデルフィア)

 フィリーズが延長15回に野手を登板させ、投手に左翼を守らせるという“珍事”が発生。しかも、左翼に入ったビンス・ベラスケス投手が補殺にレーザービーム送球、ダイビングキャッチと2イニングで美技を連発した。試合は惜しくも3-4で敗れたが、前代未聞の“大暴れ”は大きな話題となっている。

 2日(日本時間3日)に本拠地シチズンズ・バンク・パークにホワイトソックスを迎えたフィリーズ。1点リードの9回に追いつかれ、試合は延長戦に突入。13回にクインがヒットで出塁すると、ピッチャーのエフリンがバントを試みるも失敗。エフリンが一塁に残る形となった。

 続くセグラは四球で2死一、二塁にすると、フィリーズは7月31日(同1日)に先発して5回2失点で今季6敗目(3勝)を喫していた右腕ベラスケスを二塁走者エフリンの代走に送った。ところが、ホスキンスは一邪飛で3アウト。サヨナラはならなかった。

 すでに7投手を使っていたフィリーズは、14回のマウンドに中堅のクインを送り、左翼のヘイズリーが中堅へ。そして、代走で出場したベラスケスをなんと左翼の守備に就かせた。ここから驚きの大活躍が始まった。

 まずは14回、1死二塁でクインが左前打を浴びると、本塁へ94.7マイル(約152.4キロ)の強烈な送球。二塁から一気に生還を狙ったアブレイユを刺した。15回もクインが2死一、二塁の場面でアブレイユに左前打を許すと、ベラスケスは今度は本塁へ95マイル(約152.9キロ)のレーザービーム送球。判定はセーフで、フィリーズはチャレンジしたものの、判定は覆らず。それでも、ピッチャーらしく2度も強肩ぶりを見せつけた。

 そして、続くヒメネスの左翼へのライナーには、ベラスケスが前進して地面スレスレでダイビングキャッチ。MLB公式サイトのスタットキャストが算出した捕球確率は15%。同20%以下に分類される「5つ星キャッチ」の美技で追加点を阻止した。

MLB公式ツイッターも興奮「ビンス・ベラスケスは球界一の左翼手だ」

 フィリーズはそのまま3-4で敗れたものの、ベラスケスの奮闘は大きな話題に。MLB公式サイトの動画コーナー「Cut4」は「野手が登板し、投手が外野から本塁補殺」とのタイトルで特集を組んだ。

 記事では「クレイジーなことは、金曜日のフィリーズ-ホワイトソックス戦で深夜12時直前に始まった13回裏、投手ザック・エフリンの代走は……投手のビンス・ベラスケスだった」と“珍事”の始まりについて伝え、「(フィリーズの)ゲーブ・キャプラー監督は次の回もベラスケスを試合に残し、投げさせるのではなく、左翼の守備につかせ、外野手のロマン・クインをマウンドに立たせた。表面上は、最適な役割分担ではないように見えるかもしれない」と指摘。ただ、その後の大活躍があったことから「そうであるなら、あなたは先のことが読めていなかった。左翼は強肩の男を守備につかせる完璧なポジションだったと判明したからである」と采配を“絶賛”している。

 さらに、MLB公式ツイッターが「ビンス・ベラスケスは投手だ。彼は左翼でプレーしている。彼は本塁補殺した。すごい」との見出しで投稿したベラスケスの補殺動画を紹介。続けて同ツイッターで「ビンス・ベラスケスは球界一の左翼手だ」との見出しで公開されたダイビングキャッチ動画も紹介し「ベラスケスは次の回も左翼でプレーした。本塁への惜しい送球があった後、彼はゴールドグラブ賞に値するキャッチでイニングを終わらせた」と説明している。

「野手の登板についてはよく話題にしているが、フィリーズは守備につく投手も加えることが夢の組み合わせだと発見した」

 大谷翔平投手の昨季の活躍で投球と打撃の二刀流が増えつつあるメジャーリーグ。ベラスケスの活躍で、投球と守備の二刀流が流行する日が来るかもしれない。(Full-Count編集部)

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