神奈川の最低賃金1011円 28円アップで初の千円台

県内の最低賃金の推移

 神奈川地方最低賃金審議会(会長・盛誠吾一橋大学名誉教授)は5日、2019年度の県内の最低賃金について、現行から28円引き上げて時給1011円(前年度比2.85%増)に改定するよう神奈川労働局の荻原俊輔局長に答申した。最低賃金が時給千円台となるのは初めて。

 最低賃金を巡っては、審議会、専門部会で計6回の審議を実施。専門部会では使用者側、労働者側がそれぞれ推薦する委員が選ばれた。

 答申によると、使用者側の委員からは、「最低賃金制度は、賃金の低廉な労働者に対する『セーフティーネット』であり、賃金引き上げや消費の拡大を目的としたものではない」「同一県内であっても生活圏や経済圏等に基づくさまざまな事情を考慮した上で、中小企業の賃金引き上げの実態を示し、金額審議が行われるべきだ」との意見が出されたという。

 また、労使両者は、賃金の地域格差が拡大している点を「看過できない課題で、改善に向けて努力を尽くしていただきたい」と強調。引き上げ率が7年連続で前年度比2%を超えるなど、近年、大幅な最低賃金の引き上げが続いていることについては「客観的かつ合理的な根拠を示すための努力を尽くしていただくよう強く要望する」とした。

 答申について異議申し立てがなければ、新たな最低賃金は10月1日以降に発効する。適用対象となる労働者数は約317万人。

 厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会は先月末、47都道府県を経済情勢などに応じてA-Dの4ランクに分類。神奈川などAは、上げ幅の目安を全国平均を1円上回る28円を目安としていた。

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