上平で豚コレラ 野生イノシシ県内3頭目 菅沼の国道沿い

 県は5日、南砺市菅沼(上平)の国道沿いで豚コレラに感染した野生イノシシの死骸が見つかったと発表した。県内で野生イノシシの感染が確認されたのは3頭目。県によると、県内にある養豚場全19カ所の豚に異常は確認されていない。

 5日午前に地元住民が、国道156号脇で死んでいるイノシシの幼獣を発見。県東部家畜保健衛生所が遺伝子検査をしたところ陽性反応が出た。雌で体長は約70センチ、体重は約8キロだった。

 発見場所は岐阜県境から4.2キロ、石川県境から8.5キロの地点。1頭目の感染イノシシが見つかった富山市大沢野地域や、2頭目の砺波市庄川町庄の発見場所からは20キロ以上離れている。どこで感染したかは不明という。

 半径10キロ以内に養豚場はなく、国の指針に基づく「監視対象農場」の追加指定はない。県は今後、発見場所から半径10キロ以内で捕獲した全てのイノシシについて感染の有無を調べる。既に指定されている富山と砺波、南砺の3市にある計5農場は、引き続き防疫や監視体制を強化する。

■経口ワクチン8日散布 県 イノシシ用

 野生イノシシの豚コレラ感染を受け、県は8日からイノシシ向けの経口ワクチンを散布する。野生イノシシの感染拡大を食い止め、養豚場の豚への感染リスクを下げる狙いがある。

 餌に混ぜたワクチンを山中に散布すれば、ウイルスの抗体を持つイノシシが増加し、感染拡大に一定の効果があるとされる。県はまず、県畜産研究所がある富山市婦中町周辺で散布を始める予定。警戒心が強いイノシシへの効果的な散布方法を見極めた上で、8月末に全域に広げる。

 イノシシ向けの経口ワクチンとは別に、県内の養豚業者からは豚へのワクチン接種を求める声が強まっている。

 県養豚組合連合会(新村嘉久会長)は2日、県に要望書を提出し、国に働き掛けを行うよう求めた。ただ、農林水産省は輸出入でデメリットが生じるとして慎重な姿勢を崩していない。

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