AI活用し詐欺防止へ 横浜信金とNTTが実証実験

AIを活用したカメラなどが設置されたATMコーナー=横浜市

 横浜信用金庫とNTT東日本神奈川事業部は今月から、人工知能(AI)を活用して特殊詐欺被害の防止を図る実証実験を始めた。現金自動預払機(ATM)のコーナーに監視カメラと集音マイクを設置し、利用者の動作を解析。被害に遭っている可能性があるとAIが判断した場合、店舗の専用端末を介して職員に通知し、声掛けなどに生かしてもらう。

 実証実験は9月30日まで、横浜市内の2店舗でATM4台を対象に実施。カメラの映像や集音マイクの音声データを検知、解析するAIシステムを同事業部が提供する。

 映像監視に加え、音声を検知してAIで詐欺被害者の判定を行う試みは全国初という。同信金と同事業部は実験結果を踏まえ、AIの精度向上や、抑止に有効なサービスと機器の開発につなげていく。

 今回の実証実験では、詐欺被害者がATMの操作時に携帯電話を使っていることが多い点に着目。カメラやマイクで利用者が通話している様子が確認された場合、AIが不審と判断して専用端末に知らせる仕組みになっている。音声で検知された際は、ATMに取り付けた専用ディスプレーでも「その会話大丈夫ですか」と注意を促す。

 同信金ではこれまで、職員がATMコーナーで警戒に当たってきたが、事務作業に追われる繁忙日を中心に課題もあった。担当者は「職員の気付かないところで、アラームで知らせてくれれば、水際での阻止につなげられる」と期待する。

 同事業部は「将来的には、通話の中で詐欺特有のワードが出てきた際に検知するようなレベルまで、AIシステムの精度を高めていきたい」と話した。

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