ケンブリッジの研究プロジェクトが21世紀の進歩のための新たな経済指標を提案

ケンブリッジの研究プロジェクトが21世紀の進歩のための新たな経済指標を提案

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【ロンドン2019年8月5日PR Newswire=共同通信JBN】
*報告書は、GDP重視から「ウエルス会計」への切り替えを提言
*暫定研究は、効果的な炭素会計に必要な複数の視点を提示
*初期所見は、経済の強化にはより高いレベルの社会的信頼が必要であることを示す

気候変動、社会的緊張、高レベルの不平等の影響が明白さを増す中、ダイアン・コイル教授率いるケンブリッジ大学のBennett Institute for Public Policy(ベネット公共政策研究所)は、効果的な経済政策の決定につながる経済的尺度を改善する方法に関する第一次報告を発表した。

同報告は、GDPだけでなく「ウエルスエコノミー(豊かさを指標とする経済)」に基づく代替測定フレームワークに焦点を当てるよう提言。豊かさは、人々が経済的潜在力を充足するのに必要な様々な経済的資産へのアクセスと、持続可能な成長および生活水準の向上を実現できる長期的な経済の潜在力で決定される。

この新しい経済フレームワークの前向きな要素は、経済、社会、そして自然環境の持続可能性の指標として、年間生産量すなわちGDPより、優れた指標となる。

この野心的フレームワークには、国家の包括的な富として知られるものを構成する6タイプの経済資産へのアクセスを測定する必要がある。

1. インフラと新技術へのアクセスを含む、物理的資産と生産資本
2. 純金融資本
3. 自然が提供する資源とサービスである自然資本
4. 知的財産やデータといった無形資産
5. 個人のスキルや心身の健康の累積である人的資本
6. 社会的・制度的資本

ダイアン・コイル教授は、報告書について「21世紀の進歩は、20世紀の統計では測定不能だ。われわれは、豊かさが増加したのかどうかの指針としてウエルスエコノミーを重視することにした。なぜなら、それは持続可能な成長と生活水準の向上を実現できる経済の長期的潜在力を測るものだからだ。こうした資産の変動を測定しなければ、経済や社会、そして自然環境の持続可能性実現の見通しを立てるのはほとんど不可能だ」とコメントした。

ケンブリッジの研究者たちは、包括的フレームワークづくりの第一歩として、自然資本と社会資本に焦点を合わせることからスタートした。

あらゆる形態の資本の構成要素を提供する自然資本は、おおむね減少している。これは、幸福にとって重大なリスクとなっている。水、空気、土壌、鉱物、また容易に崩壊してしまう森林や海洋生態系といった再生可能資本を含む自然資本を激減させることで得られたGDPの成長は、将来世代の幸福を奪うものであり、だからこそ、自然資本の測定が重要なのだ。

研究の第一弾をまとめた同報告は、研究の方向性に関する暫定的見解を提供し、炭素排出量のより適切な報告方法を含む、研究結果の暫定的な示唆を提供している。

同プロジェクトの研究リーダーであるマシュー・アガーワーラ氏は「炭素排出は、自然資本を毀損する。この新しいウエルスエコノミーアプローチでは、気候変動への影響とそれに対する寄与度に従って、国家のバランスシートを調節していくことを考えざるを得なくなる。暫定的な研究結果が示しているのは、グローバルサプライチェーン上の様々なポイントを排出元として指摘する複数の見解から説明を組み立てることが、各国の二酸化炭素排出量を包括的に理解する唯一の方法であるということだ」と語った。

社会資本はしばしば、社会を結び付ける接着剤と言われる。そこには、個人的な関係、市民参加、ソーシャルネットワークが含まれる。それなしでは、経済成長はほとんど、あるいは全くない。同報告書は、自国の市民や制度に対する信頼とガバナンスの質が、生産性向上と報告される幸福度の向上の結果であり、原因であると主張している。社会資本の基本的要素である信頼の醸成は、他の人や組織との信頼できる交流の積み重ね、あるいは倫理観、文化的基準や規範といった幅広い社会環境に依存している。

研究チームは、社会への信頼とこれが経済とどのように相関しているかを調査した欧州のデータに対して統計的分析を実施した。明らかになったのは、全体としてスカンジナビアの人々は信頼が最も高く、地中海、東欧諸国の人々は最も低いということで、一般的に信頼は収入の増加と共に大きくなり、信頼が醸成されると生産性向上に役立つ可能性があるということだった。

ウエルスエコノミー・プロジェクトは、主要資産へのアクセスを記録する小さなダッシュボードで最終的にGDPを増加させることを目指しており、英国から国連まで多くの大規模な環境経済計画と協力している。

ウエルスエコノミー・プロジェクトのリーダー、ディミトリ・ゼンゲリス氏は「統計は、われわれが経済を観察する際に使用するレンズであり、政策立案者、ビジネスマン、個人は、そのレンズを通して見た光景に反応して行動を変える。統計ツールは、今日の決定が将来、われわれが繁栄する能力を固定化してしまうことになる不確実かつ急速に変化する世界で、価値をつかみ取るのに適したものでなければならない」と語った。

ウエルスエコノミー・プロジェクトは、LetterOneによってサポートされている。

報告書の執筆陣は、以下の通り。

ダイアン・コイル - ケンブリッジ大学ベネット公共政策研究所教授
ディミトリ・ゼンゲリス - プロジェクトリーダー
マシュー・アガーワーラ - 研究リーダー
マルコ・フェリシ - 研究アシスタント
ジュリア・ウドウィン - 研究アシスタント
サイテ・ルー - 研究アシスタント

詳細およびインタビューについては、以下に問い合わせを。

Michael Bodansky
michael.bodansky@freuds.com
+44(0)203-003-6544 / +44(0)7766-341-736

PDF: https://mma.prnewswire.com/media/956353/Measuring_wealth_delivering_prosperity.pdf

Logo: https://mma.prnewswire.com/media/956344/Cambridge_research_project_Logo.jpg

ソース:Cambridge research project