ZEHで健康な生活を ―ユーザー版2019年春季号から

高気密・高断熱の住宅だからできる吹き抜け・大開放のゆとりある空間構成(アエラホーム提供)

百歳時代の健康住宅

 厚生労働省が公開した「平成29年簡易生命表」によれば、日本人の「平均寿命」が男性81・09歳、女性87・26歳となり、過去最高を更新しました。いよいよ「百歳時代」が現実味を帯びてきたと言えます。

 では、この高齢社会において健康で長生きするためにどうしたらいいのでしょうか?

世界保健機構(WHO)によると、健康で長生きするための要因は第一に「平和」であり、次に挙げられたのが「住宅」だと言います。

 健康で過ごすためには、住環境を整備することが重要なテーマと言えるのです。

 例えば住居内で温度差の少ない暖かい建物に住むということは大切なことで、寒い住居に住むということは循環器疾患による死亡リスクを増大させることにつながるのです。

 それでは、健康的な生活を送ることのできる住宅とはどのようなものがあるのでしょうか。

 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)についてご存じだろうか?

 ZEHとは創エネ・省エネ・断熱の3つの基準を満たすことにより、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる住宅のことです。太陽光発電システムなどによる『創エネ』設備とエネルギー消費のムダを省く『省エネ』設備、そして『断熱性能』の3つを組み合わせる事により実現していくのです。

ZEHは健康寿命伸ばす

 ZEHには「健康面」と「経済面」そして「環境面」でのメリットがあるのです。

 まずは「健康面」から見ていきましょう。

 冒頭で触れたように、「健康長寿」伸ばす効果がZEHにはあるのです。

 その理由として、「高気密高断熱住宅」であることがいえます。

 「高断熱高気密住宅」とは壁、床、天井に断熱材をつかって高い断熱性・機密性を実現した住まいのことです。断熱と気密をそれぞれ見ていくと、「断熱」とは断熱材を壁の内側に使用したり、外から家を覆ったりすることで家の外の熱を伝わりにくくすることです。

 一方、「気密」とは家の内部の隙き間をなくして、家の外の空気を中に通さないことを意味しています。

 冬は寒さを遮り、室内に暖かい空気が循環し、夏は暑さを遮って、室内に涼しい空気が循環していることが理想の住まいなのです。

 暖かい家に住むということは、健康面で大きな影響があることはご存じでしょうか。

  断熱性能の高い家に(改修工事で断熱性能を高めた場合も含む)に住んだ場合、健康状態が改善されたという報告があります。

  冬場にはよく「ヒートショック」という言葉が聞かれた人も多いと思います。

  住宅の中での温度差、例えば寒い部屋から急に暖かい浴槽に入ったたり、夜中布団から起きて寒いトイレに行った時など、血圧の急激な上昇により、身体に大きな負担がかかることをいいます。住宅内の温度差が健康に与えるダメージは想像以上に大きいものがあり、家の性能から健康を考えることも必要なことと言えるのです。

経済的なメリットも

  厚生労働省が発表した調査によると、2016年の住宅を含む居住施設の浴室内で死亡した高齢者の数は4821人。交通事故の死亡者数3061人と比べても約1・5倍に達していることからも、住宅の性能が健康に与える影響がわかると思います。

 1年を通じて温度差の少ない快適な暮らしをもたらすZEHは、ご家族の健康維持にも大いに役立つことでしょう。

 また、「経済的」なメリットとしては、電気代などのエネルギーコストの安定性が挙げられます。

 太陽光発電などでエネルギーを作りながら、断熱性と気密性の高い住宅によって光熱費も抑制することが可能です。家庭のエネルギー消費を実質的にゼロにしていくというZEHは家計にも大きな影響を与えると言っていいでしょう。

 そして各家庭が太陽光発電によるエネルギーを生み出すことができれば、いわゆる化石燃料などに頼ることもなく、地球環境で大きな問題になっている温室効果ガスの抑制にもつながるのです。

 住宅購入を考えている皆さんは、まずはZEHについて検討してみてはいかがでしょうか?詳しくはハウスメーカーの営業担当者などに問い合わせしてみてください。

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