LNG確保、影響額圧縮へ 北電七尾大田火力停止1ヵ月

2号機が運転を停止している七尾大田火力発電所。影響額の圧縮が課題となっている=石川県七尾市

 北陸電力の七尾大田火力発電所2号機(石川県七尾市、出力70万キロワット)がタービンの振動で運転を停止してから間もなく1カ月を迎える。同機は昨年の火災に続くトラブルで、北電の利益を圧迫する状況が続く。運転再開は11月上旬の見通し。60億円程度の収支悪化となる見込みだが、北電は代替となるLNG(液化天然ガス)を確保するなどの対策を取り、影響額の圧縮を目指す。 (経済部・浜松聖樹)

 北電によると、7月9日に同機のタービンの振動を検知し、運転を停止した。点検でタービン内で翼の折損1枚、亀裂2枚を確認。折損により、高速回転しているタービン軸のバランスが崩れ、振動したという。今後、強度を向上させた新型の翼に取り換える。

 同機は昨年9月に部品の経年劣化による異常振動で飛散した潤滑油が引火し、火災が発生。今年2月まで5カ月間運転を停止した。150億円(1日当たり1億円)程度の減益要因となった。

 一方、今回の停止による収支悪化は1日当たり約5千万円と見込む。前回の停止時と比べ、影響額が半分となる要因は燃料の発電コストの差だ。北電によると、今年4~6月の1キロワット時当たりの発電単価は石炭が5円、LNGは9円、石油が13円。

 前回の停止時は、発電単価が安い富山新港火力発電所石炭1号機(射水市堀江千石・新湊、出力25万キロワット)が工事中だった。そのため、石油火力を炊き増ししたり、日本卸電力取引所(東京)から電力を調達したりし、コストが膨らんだ。

 現在、規模の大きな石炭火力発電所の点検や工事はなく、北電は当初余った電気を卸電力取引所で売ることも考えていたが、七尾の運転停止を受けて自社の供給分に回すことにした。

 金井豊社長は7月末の会見で、トラブルの原因究明を徹底する考えを示した上で、石油よりも発電単価の安いLNGを確保できる見通しを示し、「緩和策を講じ、少しでも影響額が少なくなるように努力していく」と述べた。

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