祈り、叫び、喜び爆発 高岡商スタンド 選手鼓舞「次も勝つ」

2回表、主将の森田が2点本塁打を放ち、歓声を上げるアルプススタンドの応援団=甲子園球場

 祈った、叫んだ、そして歓喜に沸いた。6日に甲子園球場で行われた第101回全国高校野球選手権1回戦。高岡商は延長戦の末に石見智翠館(島根)を6-4で破った。九回裏に同点に追い付かれ、サヨナラ負けの大ピンチも迎えたが、最後には勝利。スタンドをチームカラーのえんじ色に染めた大応援団は最後まで声を枯らして応援し、試合後は笑顔でナインの大きな1勝をたたえた。

 26台のバスで駆け付けた生徒や教員、保護者らが一塁側アルプススタンドを埋めた。生徒には菅笠が配られ、高岡市福岡地域の特産をアピール。福岡町下老子の居島悠河さん(3年)は「これで熱中症対策もばっちり」。

 試合は初回から高岡商が押し出し四球で先制。続く二回には主将の森田朝陽が二点本塁打を放ち、点差を広げた。森田の母、優子さん(45)=射水市小林(大島)=は「この後も打ちそうな予感がする」とさらなる奮起に期待した。

 ところが、4-2で迎えた九回裏。連続安打で同点とされ、その後も満塁のピンチが続いた。それでも二番手の堀裕貴が無失点で切り抜けると、祈るように手を合わせ戦況を見つめていた応援団は安堵(あんど)の表情を浮かべながら「行けるぞ」とさらなるエールを送った。

 そして延長10回表、再び森田が適時三塁打を放ち、勝ち越しに成功。同じクラスで机を並べる小泉輝明さん(3年)は「(森田の)手に人並みじゃないまめがあって努力しているんだなと思っていた。その成果を大舞台で出していてすごい」と興奮気味に話した。

 そのまま守り切って試合終了。生徒らは抱き合って喜び、「ありがとう。次も頼むぞ」とスタンドから選手たちに呼び掛けた。

 声を張り上げ続けた野球部員の藤巻新也さん(2年)は「支えてくれた人たちのおかげで勝てた。次も全員野球で勝つ」と力を込めた。

■メガホン鳴らし声援 クルン高岡で市民エール  高岡市下関町のクルン高岡B1ステージでは、高岡商の初戦のパブリックビューイングが行われ、市民ら約50人がメガホンを手に熱戦を見守った。

 選手が快音を響かせるたび、「よっしゃ」「よう打った」と声が上がった。延長十回に2点を勝ち越すと、集まった人たちは互いにメガホンを打ち鳴らして大喜びした。

 長年、高岡商を応援しているという同市大手町、自営業の新木宏信さん(41)は「富山県民らしい粘り強い勝ち方だった。勝ち進んで高岡をもっと盛り上げてほしい」と期待を込めた。

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