延長十回、2番手の堀が先頭打者に安打を打たれたところで、松代に声が掛かった。富山大会の唯一の登板となった高岡第一戦も、延長十一回で堀が先頭打者に2ボールとしたところで救援した。似た場面での登板となったが「甲子園のマウンドは違った」。
1万5千人の観衆が見守る緊張から、2球連続で大きく外れるボール球に。「あれ?」と普段との違いに焦ったが、「腕を振る。それ以外は気持ちで投げるだけ」と切り替え、持てる力を全ての球に込めて投げ込んだ。最後の打者を右飛に打ち取ると「ほっとした」と硬かった表情がようやくほぐれた。