夫の収入が減少、教育費がかさんでも「抜けない浪費癖」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、夫の出向に伴い収入が減り、月10万以上の赤字を抱える40代の共働き主婦。浪費癖がなかなか抜けない上、4人の子供の教育費や食費が家計を圧迫し今後が不安だといいます。FPの飯田道子氏がお答えします。

4月から夫の手取りが50万円から28万円(財形天引き後)に減りました。栄転とはいえ出向することになり、残業なし土日出勤なしのため収入が激減しています。私は大手金融企業に時短勤務で勤めています。2年後、フルタイムに戻れれば私の年収は500万円くらいになると思います。夫の今年の年収はおそらく750万円くらいです。2年後には、出向から戻るので元の年収(1080万円)になると思います。世間一般から見れば低くはない世帯年収ですが、子供が多いため私立高校の学費に塾代、習い事、保育園代と教育費が多くかかります。食費も、時間をあまりかけられないということもあり、宅配やお惣菜などを買うためかさみます。

毎月天引きで財形貯蓄にまわしているものの、赤字がかさんでくると解約し補填するという生活です。基本的にお金を貯めてから買う習性がなく、ローンで買うことを選んでしまいます。10年ほど前から常にクレジットカードの利用額が20万円を超えていて、給料が入ってもそれに消えていくという生活です。最近はカードを持ち歩かないようにして、ネットショッピングも控えています。家計はすべて私が管理していて、夫は小遣い制です。3年後には車のローン150万円を払わないといけません。この先、どうしたらいいのかアドバイスをいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・女性、41歳、既婚(夫:42歳、会社員)
・子供4人:16歳、13歳、11歳、5歳
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額:50万円
(夫:28万円、妻:22万円)
・年間の手取りボーナス額:260万円
・毎月の世帯の支出目安:約63万円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:10万円
(財形貯蓄、給与から天引き)
・現在の貯蓄総額:350万円
(別に学資保険150万円あり)
・現在の投資総額:80万円
(確定拠出年金)
・現在の負債総額:2650万円
(住宅ローンと自動車ローン)

【支出の内訳】
・住居費:8.6万円
・食費:12万円
・水道光熱費:4万円
(エネファームの返済1.5万円含む)
・教育費:17万円
(年間70万の私立高校の学費含む)
・保険料:3万円
・通信費:2.2万円
・車両費:1.5万円
・お小遣い:10万円
・日用品代:1.5万円
・その他:3.5万円
(通販サイトの分割払いなど)


飯田:世帯年収は決して低くはないものの、支出がかさんでしまい、思うようにお金が貯められず今後の生活に不安を抱いている相談者様。ご主人の仕事内容の変化や子供たちの学費等が家計の収支に大きく影響しているようですね。

相談者様のようなケースの場合、どのように見直しをするべきか考えてみたいと思います。

利用を控える前に「無駄がないか」を見極める

支出を抑えるためにクレジットカードの利用を控える、ネットショッピングを控えているとのことですが、まずは何にどれくらい使っているのか、内容を見極めることが大切です。まず取り組んでいただきたいのが、無駄がないかの見直しです。

実際に支出の内訳を見ていくと、最も高額なのは学費なのですが、こちらはセーブするのは難しい支出ですので、可能であれば、できるだけこれ以上増やさないで済むような対策を講じることをおすすめします。

気になる部分は、お小遣い10万円、食費12万円、通販サイトの分割払いを含んでいる「その他」の3.5万円の部分です。この中で無駄に消費している部分はないかを確認するため内容を書き出し、購入したモノを振り返ってみてください。

それでは具体的に見直しをしていきましょう。

「お小遣い」を減らすためにできること

毎月の支出額63万円の中で15%強を占めるのがお小遣いの10万円。毎月の収入50万円に対する比率は実に20%にも及びます。おそらく家族全員分の金額かと思いますが、ちょっと高めの金額です。

こちらでは触れられていませんが、ランチが外食であるならお弁当にする、飲み物も外では買わずにタンブラーを持ち歩くようにするだけでも違ってきますよ。タンブラーを持ち歩くと節約にも繋がりますし、暑い夏の熱中症対策にもなります。実践してみてください。

また、これだけの金額を毎月すべて使っているとは考えにくいので、思い切って何にどれくらい使うのかの予算を毎月申告してもらい、その月に必要な分のみ渡すというように、申告制にしてみるのも手です。

「食費」を減らすためにできること

食べ盛りの年齢の子供たちばかりなので、食費が掛かってしまうことは理解できます。しかしながら、12万円もかかっているとなると話は違います。

相談者様もおしゃっていますが、宅配やお惣菜を利用しているために食費が節約しにくいとのこと。まずはこれらを止めて手作りにシフトするだけで食費は劇的に抑えることができます。とはいえ、すべて手作りにするのは大変ですので、食費の中でいくらまでお惣菜に回しても良いのか予算立てをして、その範囲なら買ってもOKとしておけば過度なストレスは免れるのではないでしょうか?

食材を購入するときには底値買いを意識して、できるだけ安い日にまとめて購入することをおすすめします。スーパーでは定期的に特売日やポイント還元デー等がありますので、買い物をする曜日を決めておけば無駄遣いを防ぐのにも役立ちます。

週末を特売日にしているスーパーは多いので、このときにまとめ買いを。購入した食材は小分けにする、下処理をして冷凍ストックしておけば、料理にかける時間も少なくなります。お仕事のある日の相談者様の負担も軽くなるのではないでしょうか?

子供たちは勉強に忙しいとは思いますが、晩御飯の準備を手伝ってもらう、食後片付けをしてもらう等、役割を分担することもおすすめします。

“送料無料”に踊らされない!ネットショッピングは使い方次第

忙しい人にとってネットショッピングは大変便利なのですが、必ずしも安いわけではありません。ネットショッピングでも特売日はありますので、特売日を狙う、割引クーポンを入手してできるだけお得に購入できるような工夫を。もちろん分割ではなく、一括で支払える金額で利用してくださいね。

ネットショッピングの場合、いくら以上購入すると送料無料というサービスが見られるのですが、送料無料にするために無理に買うものを探している人もいます。買いたいモノだけ買う場合に送料がかかるときは、「本体+送料」で価格を判断し、直接買い物に行くよりもお得かどうかを判断してみてください。くれぐれも送料を無料にするために、不必要なモノまで買わないようにしましょう。

節約経験は必ずまた役に立つ

2年後にはご主人も元のお仕事に戻り、相談者様もフルタイムに戻れば年収も増えていきます。節約生活がこの先、永遠に続くわけでなく2年間のみです。現状、どうしてもボーナスや貯蓄部分から日々の生活費に充当しなければならないと思いますが、できるだけ充当する金額を減らす努力をしていきましょう。

この節約の経験は、これからの生活にも大いに役立つものです。

節約は1人だけががんばってもどうにかなるものではありません。家族全員で協力し合うことが必要です。「節約=大変」という意識は捨て、「節約=楽しむもの」と捉え、家族全員で乗り切ってください。2年間です。がんばってくださいね!

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