思いやり競技「フレスコボール」 逗子に国内初地域クラブ

6月2日に逗子海岸で行われた逗子フレスコボールクラブの練習には、幅広い世代が集まった

 ブラジル発祥のビーチスポーツ「フレスコボール」が、神奈川県逗子市内で人気を呼んでいる。木製ラケットでゴムボールを打ち合い、地面に落とさずにラリーを続ける競技で、相手の打ちやすい場所に返すのが重要になることから「思いやりのスポーツ」とも呼ばれる。3月には、日本フレスコボール協会公認の国内初の地域クラブが市内に誕生。クラブのメンバーは「競技の魅力を逗子から発信したい」と意気込んでいる。

 フレスコボールは、2人が7メートル以上離れ、向かい合って行う。長さ約45センチが標準のラケットで5分間、ゴムボールを打ち合い、ラリーの回数やテクニックによる得点を競う。ブラジル・リオデジャネイロで1945年に考案され、競技人口は約70万人とされる。

 通常のラケットスポーツは向かい合うのは敵だが、フレスコボールは味方。相手の打ちやすい場所にボールを返すことがラリーを続けるポイントで、互いにコミュニケーションを取る必要がある。誰でも気軽に楽しめ、交流も自然と生まれるのが魅力の一つだ。

 「逗子フレスコボールクラブ」が発足したきっかけは、久野雅実会長(43)が2015年春、海外で道具を購入した知人と体験したことだった。その夏に三浦市内で開かれた大会に出場。知り合った競技仲間と逗子海岸で練習するようになった。

 久野会長らの活動を、競技を地域に根付かせるために地域クラブ制度を始めた日本フレスコボール協会が知り、クラブ発足を打診。関西、福岡のクラブとともに全国初の公認団体に選ばれた。

 当初、数人だった参加者も徐々に増え、6月上旬に行われた練習には30人ほどが集まった。海岸でたまたま目にして興味を持ったメンバーも少なくない。矢野公昭さん(72)=同市=もその一人。今ではラケットを手作りするほど競技にのめり込んでいる矢野さんは「相手の打ちやすい場所に返したり、出会った人と話したりするのが楽しい」と笑う。

 年齢を問わず、適度に体を動かせる新進のスポーツに、医療関係者も注目している。医療法人メディスタイル=同市逗子=が5月に体験会を企画したところ、300人以上が集まった。徳永淳二理事長(43)は「声を掛け合って協力しながら、笑顔で楽しんでいた」とその盛況ぶりを喜ぶ。

 久野会長は「練習は誰でも大歓迎。多くの人に楽しんでもらい、活動の輪を広げていきたい」と意欲を燃やしている。

 同クラブは毎週末の午前10時から午後4時ごろまで逗子海岸で練習。日本代表の斉藤亮太選手(25)によるレッスンもある。同クラブのフェイスブックページなどから問い合わせる。

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