氷見市大野新の河村扶示子(ふみこ)さん(52)は同市比美町の福祉の店「はーとふる安靖(やすらぎ)」で初の絵画展を開いている。精神的な病気のため「引きこもりのような生活」(河村さん)を送っていたが、1年前から絵画を始め「人との接点が欲しい」と公の場で発表した。(氷見総局長 高橋幸博)
河村さんは20年前、過呼吸の発作を起こし、医師から精神的な原因を指摘された。懸命に社会復帰を目指したが、ストレスがたまると何もできない状態で、10年前に双極性障害(そううつ病)と診断された。
夫の世貢人(よきひと)さん(54)に見守られ、5、6年前から好きな文章で自己表現し、闘病記や感想文は出版社に採用された。
絵画は手元にあった12色の色鉛筆で描き始めた。アイデアが湧き出る瞬間があり、いくつもの感情が交じり合って言葉では表現できないという。
イメージをシャープペンシルで下描きし、色を塗っていく。透明水彩絵の具や水彩色鉛筆などに画材を広げ、それらを組み合わせた表現にも取り組んでいる。
「家にいて何もできないことは寂しくつらい。どこかで人との接点が欲しい」と河村さん。今回はメルヘンタッチの作品や抽象画など16点を並べた。「絵を見て一人でも『好き』と言ってくれたらうれしい」
秋に福井県で開かれる美術展にも出品を計画しており「障害の有無を抜きにして作品と向かい合ってもらえる日がくればいい」と話す。絵画展は31日まで。土日祝日休み。問い合わせは、はーとふる安靖、電話0766(72)5626。