「届かなかった甲子園に連れてきてもらった」
本県代表の海星には、心強い助っ人が帯同している。昨夏、背番号1を背負って、長崎大会決勝まで進んだ小林寛明前主将(立正大)。メンバーにとって「絶対的な存在」で、厳しく叱(しか)って鍛えてくれた先輩だ。久しぶりに復帰した“もう一人のキャプテン”が、後輩とともに熱い夏を過ごす。
1年前までは「嫌われる」ことが役目だった。徹底して伝えてきたことは、技術よりも精神面。「たとえ失敗しても表情を変えず、次にやるべきことを考える。心は熱くても頭は冷静に」。それができなければ、同学年だろうが、主力の下級生だろうが、突き放した。
「授業で前を向くとか、落ちているごみを拾うとか、当たり前だけど、練習時間より長い普段の生活の中で、やるべきことをどれだけやるか」。それがチームの合言葉にもなっている「ぶれない」野球に結びつくと信じてきた。自分たちで夢をかなえることはできなかったものの、そうした思い、伝統は、しっかり受け継がれた。
迎えた今季。チームは昨秋からNHK杯までの主要県大会すべてで1点差で敗れ、それぞれ相手が頂点に立った。「夏はもう、優勝しかない」。信じて応援に駆けつけた7月の長崎大会。苦しみながらも、迷いがなく、腰を据えてプレーする後輩たちを見て、期待は確信に変わっていった。
「あいつがこいつらを導いてくれた」と評する加藤慶二監督からの誘いを受け、今月4日に大阪入り。裏方としてグラウンドや宿舎で献身的に、憧れの舞台に立つ後輩たちのサポートを続ける。
中でも勝負の鍵になると気にかけているのが、投手陣だ。自らの経験も基に、こう伝える。「腹をくくって投げられるかどうか。ただそれだけ。そのためのことはやってきているはずだから」
がんばれ!海星 「腹をくくって投げろ」 小林前主将 チームに帯同 後輩投手陣にエール
- Published
- 2019/08/08 11:00 (JST)
- Updated
- 2019/08/08 11:19 (JST)
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