経口ワクチンの散布開始 豚コレラで県

野生イノシシへの経口ワクチンを地中に埋める県の担当者=富山市婦中町千里前山

 県内養豚場の豚コレラ感染を防ぐため、県は8日、富山市婦中町千里前山の県畜産研究所周辺で、ウイルス媒介の原因とされる野生イノシシ向けの経口ワクチンの散布を始めた。感染イノシシが見つかった地域や県境を中心に、5市町の計150カ所で6千個を散布する。

 経口ワクチンは、液状のワクチン入りカプセルをトウモロコシ粉で覆ったもので、他のエサと交ぜて地中に埋めて食べさせる。抗体ができたイノシシは豚コレラに感染せず、養豚場への感染リスクを下げる効果が期待できる。

 この日の散布は、実際の作業を担う猟友会メンバーらの実習も兼ねて行った。防護服に身を包んだ約70人の参加者は、県の担当者の指示を受けながら経口ワクチンの埋め方を確認した。13日からは富山市に加え、砺波市と南砺市、小矢部市、立山町でも散布する。

 イノシシはワクチンを2度摂取すれば、完全に抗体ができるとされる。散布作業が完了するまで50日程度要するという。視察した石井隆一知事は「早く散布しないと手遅れになる。全力を挙げて養豚場への感染を防ぎたい」と語った。

 県内では7月27日に富山市大沢野地域で感染した野生イノシシ1頭が初めて発見されて以降、砺波と南砺の両市でも1頭ずつ見つかっている。

豚コレラを防ぐための経口ワクチン=富山市婦中町千里前山

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