雲ノ平|何時間かかってもわざわざ行きたい!北アルプスの最深部・日本最後の秘境の地 雲ノ平は飛騨山脈・黒部川源流にある、日本一標高の高い溶岩台地です。2010年に建て替えられた雲ノ平山荘周辺にはお花畑や庭園が広がり、木道歩きも楽しめます。どこからアクセスしても遠く、日本最後の秘境とも呼ばれている場所です。長時間歩ける体力は必要ですが、鷲羽岳、水晶岳、三俣蓮華岳など北アルプスの名峰に囲まれた素敵な場所ですよ。

「雲ノ平」ってどんな山?

  • 標高: 2650m(山荘)
  • 所在地: 富山県富山市
  • 体力レベル: ★★★★~
  • 難易度レベル: ★★★~

「雲ノ平」は、北アルプスの最深部、飛騨山脈・黒部川源流にある場所です。実は山の名前ではなく、標高2500~2700メートルにある、日本一標高の高い溶岩台地のこと。雲ノ平に行くには、どの登山口からも1日以上かかるため「日本最後の秘境」といわれることもしばしばあります。

幻想的な景色に素敵な山小屋!「雲ノ平」の魅力とは

ここは日本!? まるで海外にいるみたいな幻想的な風景

雲ノ平には、「アラスカ庭園」「アルプス庭園」「日本庭園」などの名前の付けられた「庭園」がいくつかあります。たくさんの高山植物が咲き誇る姿は、まさに雲の上の楽園そのもの。ここは本当に日本なのかと圧倒されるお花畑を楽しむことができます。このお花畑が見られるなら、何日かけてでも行ってみたい!そんな風に思わせてくれる場所です。

なんと夕飯は石狩鍋!雰囲気も抜群の雲ノ平山荘が素敵すぎる

大平原のなかにポツンとたたずむ姿が素敵な雲ノ平山荘は、2010年に建て替えられた山小屋です。どこの登山口からもアクセスが遠いため、北アルプスの燕山荘や槍ヶ岳山荘ほどメジャーではないですが、収容人数が多くないので週末は混みあうこともあります。夕食は、山小屋では珍しい「石狩鍋」が食べられることが有名で、それ目当てに登る方も多いんだとか。普段の生活とは違う山小屋という環境の中、具だくさんでほかほかの鍋が食べられるのは嬉しいですね。

(※イメージ/物資の供給状態などが影響するため、必ず食べられるわけではありません)

雲ノ平に行くのに最適な時期は?冬も登れるの?

梅雨のあける7月下旬~10月の初旬ごろまでがベストシーズン。7月下旬~8月上旬には可憐な高山植物が咲き乱れ、9月の下旬には、美しい紅葉を眺めることができます。7月上旬ごろだと、年によってはまだ残雪がありますので、軽アイゼンなどの装備が必要です。日帰りは大変難しい距離ですので、周辺の山小屋の営業期間を確認し、計画を立てましょう。

雲ノ平の天気

雲ノ平に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!

雲ノ平の天気を調べる

山と高原地図 剱・立山

ずばり、初心者でも行ける?

雲ノ平に行くには、長時間歩ける体力が必要です。燕岳や赤岳などを山小屋泊で登ったことのある方は、次のステップとしてチャレンジ可能といえるでしょう。レインウエアやザック、登山靴など基本的な装備のそろっていない方には、長丁場の行程になるためおすすめできません。

①これが最短ルート!2泊3日で行ける、折立~雲ノ平山荘ピストン

このルートは途中山小屋がありますので、テントを持っていない人でも行くことができます。険しい岩稜帯をトラバースするような箇所はありません。しっかりしとした装備と体力を備えて、ぜひチャレンジしてみましょう。

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【1日目】折立~太郎平小屋

折立(210分)→五光岩ベンチ(90分)→太郎平小屋

(折立登山口)

折立の登山口から出発です。トイレや自動販売機があります。

(折立登山口から五光岩ベンチまでの樹林帯)

樹林帯の中をどんどん進んでいきます。

(五光岩ベンチ)

森林限界を超え、五光岩ベンチに到着です。太郎平小屋まではあと2キロあまりです。

(太郎平小屋)

太郎平小屋に到着です。雲ノ平方面のほか、黒部五郎岳や薬師岳など北アルプス奥部へ続く登山道の分岐点になります。こちらで1泊し、明日に備えましょう。

【2日目】太郎平小屋~薬師沢小屋~木道末端~アラスカ庭園~雲ノ平山荘

太郎平小屋(135分)→薬師沢小屋(130分)→木道末端(25分)→アラスカ庭園(45分)→雲ノ平山荘

太郎平小屋を出発すると、木道が薬師沢方面と黒部五郎岳方面に分かれます。

(薬師沢分岐)

今回は、雲ノ平へ最短ルートで向かいたいので左の薬師沢方面に進みます。

(薬師沢小屋への道の途中にある橋)
薬師沢小屋へ行く途中、何度か橋を渡ります。悪天候で増水時は注意が必要です。

(つり橋)

途中にはつり橋も…!結構高度感がありそうですね。

(アラスカ庭園までの急登)

薬師沢小屋を超え、大きな岩の急登を2時間ほど超えていくと…

(アラスカ庭園)

木道が現れ、アラスカ庭園に到着です。山荘まではあと少し…。

(雲ノ平山荘)

アルプス庭園、ギリシャ庭園の木道を抜けると、雲ノ平山荘に到着です!こちらで2泊目を過ごします。

テント場はさらに15分ほど奥に行ったところにありますよ。

【3日目】雲ノ平山荘~アラスカ庭園~木道末端~薬師沢小屋~太郎平小屋~折立

3日目は来た道を戻ります。もし時間に余裕があれば、せっかくなので雲ノ平山荘周辺を散策するのもよいですね。

②温泉好きはこちらも!プラス1泊で「高天原温泉」もめぐる、雲ノ平周遊ルート

高天原温泉は温泉好きの間では「日本で最も遠い温泉」と言われる秘湯中の秘湯!雲ノ平からさらに奥にあります。せっかくなら、めったに行けない温泉もセットでいかがでしょうか。

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【1日目】折立~太郎平小屋(①と同様)

1日目は①と同様です。

【2日目】太郎平小屋~薬師沢小屋~高天原峠高天原高原山荘

太郎平小屋(135分)→薬師沢小屋(240分)→高天原峠(60分)→高天原高原山荘

二日目は薬師沢出合いを、①とは違って左へ。

(高天原峠分岐)

高天原峠の分岐を、高天ヶ原方面へ進みます。

(高天原山荘)

高天原山荘は、赤い屋根のこぢんまりとした山荘です。秘境感たっぷり!

【3日目】高天原高原山荘~高天原温泉~水晶池~岩苔乗越~祖父岳~スイス庭園~雲ノ平山荘

高天原高原山荘(20分)→高天ヶ原温泉(30分)→高天原高原山荘(50分)→水晶池(150分)→岩苔乗越(40分)→祖父岳(15分)→祖父庭園(30分)→スイス庭園(25分)→雲ノ平山荘

山荘を出発し、20本ほどで温泉へ。

(高天原温泉)

向こう岸に男女別になった温泉が見えます!これは秘湯感がありますね~

(水晶池)

水晶池にうつる山々と木々がきれいですね。

(岩苔乗越)

岩苔乗越を超えて…

(祖父岳)

祖父岳を通過し、雲ノ平山荘へ向かいます。雲ノ平山荘にもう1泊し、下山します。

【4日目】雲ノ平山荘~アラスカ庭園~木道末端~薬師沢小屋~太郎平小屋~折立(①の3日目と同じ)

①の3日目と同様です。折立の登山口へと下山します。

③いつかは行ってみたい!北アルプス奥部を縦走する、折立~雲ノ平~新穂高温泉ルート

雲ノ平はもちろん、北アルプスの最深部にある山々を縦走するロングルートです。雲ノ平以降は一部危険個所もありますので、①や②のルートで経験を積まれてから行くのをおすすめします。長いお休みが取れたら、人生で一度は挑戦してみたい…!そんな登山者の憧れのルートを紹介します。

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【1日目】折立~太郎平小屋(①と同様)

【2日目】太郎平小屋~薬師沢小屋~木道末端~アラスカ庭園~雲ノ平山荘(①と同様)

【3日目】雲ノ平山荘~祖父岳~鷲羽岳~三俣山荘~三俣蓮華岳~双六小屋

雲ノ平山荘(30分)→スイス庭園(30分)→祖父庭園(30分)→祖父岳(40分)→岩苔乗越(70分)→鷲羽岳(60分)→三俣山荘(100分)→三俣蓮華岳(115分)→双六小屋

雲ノ平山荘を出発すると、しばらくは木道歩きです。

(スイス庭園との分岐)

左へ向かうとスイス庭園ですが、その先は行き止まりです。祖父岳・鷲羽岳方面には分岐を右に行きましょう。

(チングルマの綿毛)

チングルマの綿毛がきれいですね。7月の末ごろが見頃ですよ。

(岩苔乗越)

祖父岳を経て、岩苔乗越をワリモ北分岐・鷲羽岳方面へ。祖父岳までの登りはちょっとしたガレ場になっています。

(ワリモ北分岐)

ワリモ北分岐を鷲羽岳方面へと進みます。こちらのコースは天気があれると危ないため、悪天候の時は「黒部源流コース」を利用し、三俣山荘へ向かったほうが良いです。

ワリモ岳はロープを使って通過する箇所があります。

(鷲羽岳)

鷲羽岳です。今回の縦走ルートのなかで、一番標高の高い2924メートルです。

(鷲羽池)

山頂からは鷲羽池が見えます!きれいですね~。約30分で池のほとりまで往復可能です。

鷲羽岳から三俣山荘までは少々きつい下り。ザレていて、山頂直下には岩場もありますよ。注意して進みましょう。

(三俣山荘)

三俣山荘を経て、三俣蓮華岳へ向かいます。

(三俣峠)

三俣蓮華岳への分岐・三俣峠です。三俣蓮華岳方面へ約20分で三俣蓮華岳です。時間がないときは双六小屋巻き道方面へ向かっても良いですが、7月はまだ残雪があることもあります。三俣山荘でルート確認をしたほうが安心ですね。

(三俣蓮華岳)

三俣蓮華岳山頂です。

(双六岳への道)

双六岳へ向かう途中です。稜線ルートは天気が悪いと方向感覚がなくなりそうな道なので、中道ルートを使うのがおすすめです。道迷い多発地区なので、こまめに現在地を確認するようにしましょう。

(三俣蓮華岳からの双六小屋)

巻き道ルートと中道ルート、稜線ルートの合流点の下に双六小屋、その向こうは樅沢岳が見えます。双六小屋にて1泊します。

【4日目】双六小屋~鏡平~わさび平小屋~新穂高温泉

双六小屋(70分)→弓折乗越(30分)→鏡平(130分)→小池新道登山口(20分)→わさび平小屋(10分)→笠新道登山口(55分)→新穂高温泉

(双六小屋)

双六小屋を出発します。

(双六小屋)

双六キャンプ場のすくそばには双六池があります。

(弓折乗越)

一時間ほど歩くと弓折乗越(弓折岳分岐)です。左手の鏡平方面に下ります。

(鏡池にうつる逆さ槍)

鏡平山荘には鏡池があり、天気が良ければ池に写る「逆さ槍」が見える絶景ポイントです。かき氷が名物ですよ。

(チボ岩)

ゴロゴロした岩の道も歩きます。どんどん歩いてわさび平小屋を目指しますよ。

(わさび平小屋)

木のぬくもりがあふれる、わさび平小屋です。あとは新穂高温泉まで林道を約1時間ほど歩いたら、新穂高温泉に到着します。

雲ノ平周辺の山小屋情報

雲ノ平山荘

雲ノ平山荘は水晶岳をはじめ周りには薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、三俣蓮華岳などがあり、北アルプス深部の名峰に囲まれた山荘です。7月の高山植物が盛んな時期にはお花畑が一面に広がり、美しい景色に心を奪われることは間違いないでしょう。
2010年に建て替えられ、木のぬくもりが感じられる山小屋です。個室や診療所などはありません。
石狩鍋のおいしい夕飯のあとは、黒部の開拓時代のスライドショーの上映もあります。

所在地:富山県富山市有峰黒部谷割
電話番号:090-4672-8108
営業期間:7月上旬~10月上旬

料金:

  • 素泊まり: 6,000円
  • 1泊2食付き: 10,000円
  • テント: 1,000円

収容人数 約70人

雲ノ平山荘のHPを見る

雲ノ平への登山口情報

登山口となる折立へのアクセスを紹介します。シーズン中は富山地方鉄道の有峰口駅からも路線バスが利用できます。マイカーは規制があるので注意が必要です。
【車の場合】
〇富山方面から
北陸自動車道・立山ICから有峰林道・小見線を約70分で折立駐車場へ。
〇松本方面、国道471号から
国道471号から林道高山大山線、有峰林道・東谷線を経て約2時間で折立駐車場へ。
<駐車場>
折立バス停手前に駐車場あり。収容台数が100台と少ないため、キャンプ場の駐車場も利用可。
【電車・バスの場合】
JR富山駅から富山地方電鉄の直通バスで約2時間で折立バス停へ。
JR富山駅から富山地方鉄道立山線(電車)→富山地方鉄道有峰口駅から路線バスに乗り換え折立バス停下車。

富山駅からバスでアクセスする時間を調べる

まさに「日本最後の秘境」、魅力いっぱいの雲ノ平へ!

雲ノ平は、木道歩きに高山植物、素敵な山小屋と迫力抜群の北アルプスの山々を堪能できる魅力が満載です。頂上を目指さず、山荘でのんびり過ごしたり、木道の周辺を散策するだけでも十分楽しめるでしょう。長期休みが取れたら、ぜひ雲ノ平までのロングトレイルにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。上級者の方は縦走もできるルートですので、自分にあったレベルで雲ノ平を十分に堪能してください。

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