天保の大火 冊子に 富山の白石さん 古文書読み解く 

富山城下最大の大火「濱田焼き」を紹介する冊子を作った白石さん

 富山市四方二番町の郷土歴史家、白石正人さん(74)は、1831(天保2)年に起きた富山城下最大の大火「濱田焼き」に関する古文書を解読し、冊子にまとめた。 (報道センター・安多萌子)

 白石さんは退職した65歳から、県公文書館や県民カレッジの講座などで古文書の読み方や日本史を学んだ。その成果を生かそうと、地元の四方地区にあった古文書を中心に、内容を解説した冊子を作っており、今回で15冊目になった。

 今回は、県立図書館に所蔵されている内山文書(もんじょ)「天保二卯年四月十二日火災略留」を解読。冊子は古文書の原文と、原文を活字に起こした解読文、読み下し文、現代語訳の四つに分けて、A4判、106ページにまとめた。

 濱田焼きは、現在の富山市星井町辺りの家屋から出火。焼失した家屋や納屋は9千戸、死者は70人に上ったと言われる。解読した結果、富山藩へ大火の見舞いとして、東本願寺(現京都市)から畳表千枚や干菓子が贈られたと記載してあった。西本願寺(同)や勝興寺(現高岡市)からも献上品があったという。

 白石さんは「古文書を読み解けば、時に歴史を覆す事実もあるのでロマンがある」と話した。

 過去に解読した古文書を紹介する展示会を31日まで、富山市の北陸銀行四方支店で開いている。江戸時代の北前船「長者丸」の漂流に関する資料を展示している。

© 株式会社北日本新聞社