逆風下5社が最高益 生産・営業強化が奏功 県内医薬品メーカー

 県内に本社を置く売上高100億円超の医薬品メーカーの決算がほぼ出そろった。薬価引き下げによって収益環境が厳しさを増す中、5社が最高益を更新した。その他の社も増収を確保するなど逆風下の好決算が目立った。生産増強や営業強化が奏功した。ただ、今後は薬価改定が10月と来年4月の短期間に2回予定され、各社は先行きに慎重な姿勢を示している。(経済部・池亀慶輔)

 最高益を達成したのは廣貫堂、陽進堂、ダイト、東亜薬品、日東メディックの5社。廣貫堂は製造受託が好調だ。顆粒(かりゅう)剤専用工場がフル稼働したほか、新規受託品目の獲得や医療用の錠剤など既存品目の受注増が利益を押し上げた。

 陽進堂は、ジェネリック医薬品(後発薬)の販売増や子会社の業績改善で売上高と経常、純利益が過去最高になった。2020年3月期は自社初のバイオ後続品の販売が寄与し増収増益を見込む。ダイトは後発薬向け原薬の販売や製造受託が堅調で、10年連続で売上高が過去最高を更新した。

 東亜薬品は受託製造などが好調に推移し、11年連続の増収で売上高が過去最高を記録した。原料や包装資材の高騰で調達コストが増し利益の伸びは鈍化した。粉末吸入(DPI)製剤のぜんそく治療薬「シムビコート」の後発品「ブデホル」を自社開発し、今年2月に承認を取得するなど製品の研究開発を強化。20年3月期は増収増益を見込む。

 設立から25年連続で増収を続けるのが日東メディックだ。点眼剤新製品などの販売が増加。医薬情報担当者(MR)の増員による営業強化や皮膚科領域への進出に取り組んだ。25年5月期に売上高300億円、経常利益30億円以上を目標に掲げる。

 薬価改定や経費増が響き、2社が増収減益だった。後発薬国内最大手の日医工は後発薬の国内販売が伸びたが、米国での価格競争激化の影響を受けた。エーザイとの戦略提携の一環で買収したエルメッドと重複する品目の製造場所や原薬の統一、生産効率化などでコスト削減を進め、20年3月期は増収増益を予想する。

 テイカ製薬は4年ぶりの増収で売上高が過去最高を更新した。医療用の点眼剤と軟こう剤の販売が堅調だったが、減価償却費や販促費がかさんだ。20年3月期は自社製品の販売増に伴い増収、製造設備更新の影響で利益は横ばいを見込む。

 薬価改定は消費税増税に合わせて10月にあるほか、20年4月も通常通り行われる。生産数量を伸ばしても公定価格である薬価の引き下げで売り上げを伸ばしにくい。各社とも原料調達費の増加など収益環境の悪化を踏まえ、利益水準を維持、拡大するためコスト削減の努力を続ける構えだ。

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