戦時中の遺物などを紹介する「記憶をつなぐ~戦争と平和展~」(北松小値賀町立図書館など主催)が同町笛吹郷の同館で開かれている。企画した山本千明館長(63)は「現代社会が抱える多くの課題を解決するにも平和が前提となると考えるきっかけにしてほしい」と話す。
町教委によると、同館で戦争をテーマにした本格的な企画展は初めて。山本館長は同町出身。大学卒業後は福岡県の公立中で理科教諭を務めた。父方の伯父2人が戦死したことや、祖母から「親より先に子どもが死ぬこともある」などと戦争の理不尽さを聞かされたことを胸に、赴任先では平和教育に取り組んだ。
定年退職に伴い帰郷。2017年4月から館長を務めるが、町内では戦争について学ぶ機会が少ないと感じていた。戦後74年を迎え、体験の風化を危惧し企画展開催を決めた。
山本館長が教材として使っていた私物の写真パネルや、町歴史民俗資料館の所蔵品など計約80点を展示。このうち同町出身の軍人が出征先から母親に宛てた手紙には検閲の印が押され、私信ですら自分の思いを自由に表現できなかった世相を伝える。
沖縄戦で集団自決した住民や、長崎と広島の原爆で負傷した人々など、あえて凄惨(せいさん)な場面の写真も展示。山本館長は「平和だからこそ人権や環境の諸問題に向き合えるし、スポーツなども楽しめる」と平和の尊さを語った。
同展は20日まで。入場無料。開館時間は午前10時~午後6時。
「平和考えるきっかけに」 小値賀で戦争企画展 20日まで
- Published
- 2019/08/09 11:06 (JST)
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