②申請者の条件

今月のテーマ:E2ビザ

申請者はいくつかのカテゴリーに分類でき、米国政府から求められる資格や条件はそれぞれで異なってくる。今号は申請の基礎知識と、扶養家族らの注意点もあわせて解説。

Q. 前回はスポンサー企業について聞きましたが、申請者本人にはどのような条件がありますか?**

A.

申請者は、大きく三つのカテゴリーに分けられます。経営者(オーナー・投資家)、管理職(マネジャー)、そして専門職(スペシャリスト)です。

経営者は自らの資本をビジネスに投入しているので、「投資家としてリスクを負っている」とみなされ、E2ビザを一番取得しやすいカテゴリーだと言えます。また「経営のプロ」である点が重視されるので、スポンサー企業と異なる職種出身であっても比較的ビザを取得しやすいとされます。

前回お話ししたように、スポンサー企業は米国内で多額の投資を行う必要があります。借入金を資本に投資事業を試みる若い経営者もいますが、E2ビザでは「投資家としてリスクを負う」ことが重要となるので、借入金は投資の資金として認められないケースが多いです。親族からの遺産相続で得た資金も、同じ理由で奨励できません。

米国政府が警戒するものの一つが、不正な資金ルートおよび原資です。マネーロンダリングは米国政府が最も危惧(きぐ)しているものであり、スポンサー企業は資金の出所と使用先を、全て明確に提示する必要があります。

Q.管理・専門職にはどのような制約がありますか?


A.

管理職の場合、E2スポンサー企業と同じ、または似た職種で10年以上のキャリア、うち管理職を5年以上経験していれば、問題ないと考えます。20代などの若い申請者ですと、実経験が浅いと判断され、ビザ取得のハードルが上がると言えるでしょう。転職先でビザ申請する場合、前職と同業種であることが好ましいですが、管理職経験が豊富であれば考慮してもらえるケースもあります。。

専門職は、「これがないと企業として成り立たない技能」、または専門性の高い技術をを有している人を指します。こちらも最低10年はキャリアが欲しいところです。

Q. 申請が却下される人には、どういった特徴がありますか?


A.

非移民ビザのため、米国に永住の意思があると判断されると、ビザが下りません。申請書類の中に、ビザの期限が満了したら帰国を約束する宣誓書を含みます。申請者が日本とのつながりを十分に証明できない場合は、永住の意図を疑われることもあります。日本で特にビジネスを経営していない、または無職の独身者の場合、ビザの期限が満了した際に帰国するであろうと納得してもらいやすいです。

Q. 扶養家族を連れて渡米する際の注意点を教えてください。


A.

扶養家族の最初の入国は、E2ビザ申請者と同時であるようにしましょう。扶養家族が先に入国を試みると、入国拒否されるリスクが多いので、ご注意ください。また、E2ビザの配偶者は、扶養ビザのままだと米国内では就労できないので、必ず労働許可証(EAD)を申請する必要があります。許可証が届くまで5、6カ月かかることがありますので、念頭に置きましょう。

〈おことわり〉

当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。またこの記事は、2018年に掲載したものに加筆・修正を加えたものです。

安田・デビン・龍弁護士

ニューヨーク州公認弁護士。 慶應義塾大学法学部、ミシガン州立大学法科大学院を卒業。 パートナーの小林剛弁護士と「D5 Law Office」を設立。 専門は会社法、商法、移民法。 主に当地進出を目指す日系企業・個人をサポートする。 日米それぞれの語学と文化に精通。

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