パ・リーグが誇る「奪三振自慢」の先発投手 今季の奪三振率5傑は?

ソフトバンク・千賀滉大(左)、オリックス・山岡泰輔【写真:荒川祐史、岩国誠】

「ドクターK」をランキング形式で紹介、オリックスからは2人も登場

「三振」と聞いて、思い浮かべる光景はなんだろうか。ズバッと決まって見逃し三振。ストンと落として空振り三振。アッと驚く剛速球で空振りを奪う投手もいれば、巧みな投球術でスイングを誘う投手もいる。

 今回特集するのは、パ・リーグが誇る「三振自慢」の先発投手たち。それぞれの投球スタイルで「K」を積み重ねる選手を紹介する。規定投球回に達している投手のうち、奪三振率トップ5に名を連ねる「ドクターK」たちを、ランキング形式で見ていこう。

※データは2019年8月8日試合終了時点

○第5位 山本由伸 奪三振率8.11

 第5位は、オリックスの新エース・山本由伸投手だ。今季はここまで6勝4敗。防御率1.84はリーグでダントツだ。

 今季は106奪三振のうち、見逃し三振が17個、空振り三振が87個と、圧倒的に空振り三振が多くなっている。また、左打者から56個、右打者から50個の三振を記録しており、左右関係なく三振が奪える点も特徴で、左打者を苦にしない投球が光っている。そしてソフトバンクの高橋礼投手とともに、現在リーグ首位打者の森友哉捕手から今季、最も多く三振を奪っているのが山本である。

○第4位 二木康太 奪三振率8.18

 第4位には、ロッテ投手陣を牽引する二木康太投手がランクインした。若い投手が多いチームにあって、唯一規定投球回に到達している右腕。しかし、今季成績は6勝7敗と負け越しているのが現状だ。

 今季奪った100個の三振の内訳は、見逃しが28個、空振りが72個。今回ランキング入りした投手5人の中で最も見逃し三振の割合が高く、打者の裏をかいた投球術が光っている。しかし意外にも、今季の登板のうち、2桁奪三振を記録したのは一度のみであり、コンスタントに三振を積み重ねていることが伺える。

○第3位 山岡泰輔 奪三振率8.34

 第3位は、代名詞の「縦スラ」で三振を量産するオリックスの山岡泰輔投手だ。今季は、9勝3敗と大きく勝ち越しており、チームの勝ち頭として奮闘中。自身初の2桁勝利も射程に収めている。

 山岡は、ルーキーイヤーから3年連続でシーズン3桁奪三振を記録している生粋の「ドクターK」。今季もすでに117個の三振を積み重ねている。しかし左右別成績を見てみると、左打者相手には奪三振数が少なく、被打率も大きく悪化しており、左打者を苦手としているようだ。 

千賀は得点圏に走者を置いた状況で93打席中44奪三振

○第2位 有原航平 奪三振率9.23

 第2位は、日本ハムのエース・有原航平投手。過去2年は防御率4点台と苦しんだが、今季はここまで防御率2.29、リーグ最多の11勝をマークするなど、再覚醒の時を迎えている。

 奪三振率と同様、今季積み重ねた三振の数はリーグ2位の121個。レアード、ウィーラーら、外国人の強打者から多くの三振を奪っている。また、打者との対戦回数別で見ると、1巡目で39個、2巡目で40個、3巡目で42個とまんべんなく奪三振を記録しており、打者に「慣れ」を許していないことが見て取れる。

○第1位 千賀滉大 奪三振率11.48

 第1位は、言わずと知れた球界のドクターK・千賀滉大投手だ。今季成績は10勝4敗、防御率2.27。現在首位をひた走るソフトバンクの原動力となっている。

 ここまでの奪三振数は162個。2位の有原に大差をつけ、ダントツだ。特に得点圏に走者を置いた状況では、93打席中44奪三振と、ギアを全開にしてピッチングする。また、今季は2桁奪三振を6度記録。奪った3球三振の数32個も、今回ランキング入りした5人の中でトップだ。

 三振ひとつとってみても、その奪い方は十人十色。投手によってさまざまな違いがあり、それぞれ特徴がある。「野球の華はホームラン」とは言うが、投手にとって三振が大きな見せ場であることは間違いない。観戦の際には、投手たちがどのように「三振」を奪っているのか注目すると、野球を見る楽しみが増えるかもしれない。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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