富山のホテル競争激化 11月に新築の「格安」登場

■宿泊特化1泊1900円から

 富山市館出町の国道41号沿いに11月1日、1泊1900円から利用できる新築の「格安ホテル」がオープンする。建築コストを抑えるとともに、設備を必要最小限にして低額の宿泊料金を実現した。今後、富山駅前ではホテルオークラやJR系列のホテルの開業も予定されており、競争激化が見込まれる。(経済部・池亀慶輔)

 新たなホテルは鉄筋コンクリート造3階建て776平方メートル。建築設計・コンサルタントの希望社(岐阜市)が建設し、運営を担う。総工費は約1億6千万円。

 富山駅から車で5分程度。長期滞在のビジネスからレジャーまで幅広いニーズに対応する。客室数は50~55室。客室面積は6~9平方メートルでシングルが主体で、バス・トイレは共用となる。一部の部屋にはシャワーやダブルベッドがある。

 食事の提供はなく、長期滞在者向けにコインランドリーや流し台、電子レンジなどを備える。駐車場は約30台分を確保する。

 希望社は「ウィークリー翔」のブランド名でホテルを全国に展開。同ブランドはユニットバスやテレビといった設備やアメニティーを省いた宿泊特化型の客室・サービスを特徴とする。

 同社は、2010年5月から富山駅前の富山市新富町でウィークリー翔を運営してきたが、20年4月に老朽化が進む駅前の建物の賃貸借契約が終了することから、土地を取得し、新たなホテルを建設することにした。新築によってコスト高になるが、強みである価格水準は維持する。

■富山駅周辺地価上昇 客室面積抑え低コスト化   富山市内で安価な宿泊料金を打ち出すホテルが相次いでいる。富山駅周辺を中心に地価が上昇しているものの、客室面積を抑えることで単価を維持し、利用者の低価格志向に応える構えだ。

 新桜町や桜木町といった市中心部では、1泊3千円台の料金を設定したビジネスホテルがある。いずれも客室面積は十数平方メートル。郊外の山室にはサウナや浴場を併設したカプセルホテルがあり、料金は1泊2千円台からとなっている。

 今後、市内で都市型ホテルやビジネスホテルの客室数の増加が見込まれる中、価格競争力に特化したタイプも存在感を示しそうだ。

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