朝日小屋復旧へ善意の輪 寄付470万円、盆明けから工事急ピッチ

朝日小屋へ給水タンクを運び込む復旧作業=7月25日

 昨年9月の台風で大きな被害を受けた北アルプス・朝日岳(2418メートル)の朝日小屋の復旧工事が9月末に終わる見通しとなった。小屋を管理する大蓮華山保勝会(おおれんげざんほしょうかい)に470万円の寄付が寄せられ、工事費用の確保にめどが付いた。蓬澤(よもぎさわ)正二会長(75)は「善意に応えられるよう、しっかり復旧させたい」と話している。(朝日・入善支局長 高野由邦)

 昨年の台風21号で、朝日小屋は小屋の給水タンクが吹き飛ばされたり、倉庫の外壁が破損したりする被害を受けた。電気系統や備品、水回りの修繕なども必要で、被害総額は3200万円。災害保険の補償を受けたが、残り900万円を工面しなければならなくなった。

 昨年予定していた同会の結成90年の記念式典も中止して費用の捻出に努めていたところ、蓬澤会長の知人や山岳関係者から「少しでも役立ててもらえれば」と寄付が相次いだ。同会は寄付の専用口座を開設し、7月末までに470万円が集まった。まだ約450万円が足りないものの、当面は借入金を充て、一層の支援を求めていくことにした。

 朝日小屋は白馬岳方面から来る登山者も多く訪れる。小屋は、営業しながら復旧作業を続けているが、給水タンクがなく、雪解け水を使うため水不足の状態が続いていた。

 復旧工事は6月に着手。ただ、多くの山小屋の物資輸送を担ってきた業者の小型ヘリが故障した影響で、荷上げができなくなった。7月下旬にようやく、ヘリで新しい給水タンクや必要な機材を朝日小屋に運ぶことができた。

 利用者数が落ち着くお盆明けから工事を急ピッチで進める予定。蓬澤会長は「大きな善意に本当に感謝している」としている。

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