学校ブロック塀 県内8割で対策遅れ 19校に問題

県内の学校ブロック塀点検結果

 小中学校などにあるブロック塀の安全対策を巡り、県内で塀がある215校のうち172校で安全性が確保されていないことが11日までに、文部科学省の調査で明らかになった。対策が未完了の割合は全国水準(60%)を上回る80%に上り、点検の結果「安全性に問題がある」としながら対策を施していない小学校が19校あることも判明した。児童生徒の安全確保に対する教育現場の姿勢が問われそうだ。

 調査は、昨年6月の大阪府北部地震で小学校の塀が倒壊し女児が死亡した事故を受け、昨年の緊急点検時にブロック塀があった全国約2万校の現状(今年4月1日時点)を調べた。塀がある全国1万5741校のうち、9398校で対策が未完了だった。

 県教育委員会によると、県内の調査対象校は366校。塀があるにもかかわらず安全性が確保されていない172校のうち、点検で「問題がある」とされた小学校は、川崎市の16校と横須賀、鎌倉、小田原市の各1校。いずれもフェンスへの交換や補強工事などで対応するとしているが、川崎の15校と鎌倉の1校の計16校は来年3月末までに完了予定。残り3校は塀が文化遺産、鉄道敷地に面しているなどの理由で来年4月以降になるという。

 残る153校は、外観上は法令基準に適合しているものの、内部の鉄筋など詳しい安全点検が未実施の状況。自治体別内訳は横浜市が最多の136校(小学校88、中学校44、高校3、特別支援学校1)で、川崎市(16校)、綾瀬市(10校)、横須賀市(4校)、三浦市(3校)、鎌倉、小田原市、寒川町(各1校)の順だった。

 一方、塀の再整備などで安全性を確保した学校は43校。151校は撤去するなどして塀がない。未完了の学校も危険防止措置を講じているほか、調査後に撤去したケースもあるという。

 横浜市教委は「危険性がある塀は昨年度中に撤去した」とした上で、未対応分については「劣化が進んでおり、内部点検を省いてフェンスなどに更新していく。優先順位をつけながら早急に対応したい」としている。

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