リスぐるまってなに?
リスぐるまはTULALAから発売されている風車型リール。ご覧の通り。クラッチもなければ、ギア・ハンドルすらもない、とてもシンプルな構造です。
この風車型のリールは台湾リールと呼ばれ、古くは台湾から日本の沖縄の石垣地方に伝わり、ガラマーという地方名で使われていました。
現代の釣りで使われているキャスティングリールよりも前時代に登場した、古き伝統的なリールといったところでしょうか。
古き時代のリールに最新の技術を注入
リスぐるまは古き良き台湾リールが持つ楽しさが詰まっています。例えばギアのない1:1のファイト、視覚的面白さなどを誰でも味わえるように現代の技術を注入し、改良を加えているのです。
たくさん釣ったり、大物を釣ったり……釣りにはいろいろな面白さがありますが、リスぐるまは1匹をより楽しむためのリールです。
ベアリング
リスぐるまには日本製のベアリングを採用。これによってスムーズなキャストやリーニングが実現しています。
標準装備のガイドフット
台湾リールの多くは、ガイドを別で購入しロッドに装着する必要があります。リスぐるまはリール本体にガイドを溶着。これにより、組み合わせを選ばずどんな竿にも装着できます。
リールがまわると走るリス
これは遊び心の結晶。リスぐるまの中心部には3匹のリスが描かれていて、リールがまわるとリスが走り出します。(控えめに言ってとってもかわいい)
リスぐるまのネーミングの由来はここからきています。
怪魚相手に実際つかってみた
普段は海外の釣りガイドとして活動している筆者。
やっぱり気になるのは、「怪魚にもこのリールが通用するのか?」というところ。(本来リスぐるまは、エギングやナマズ、バスなどの中~小型の魚を狙うことを想定しているそう)
いずれもこのリールの対象外である強い魚たちなので、マネされる場合はくれぐれも自己責任でお願いします!
ケース1:バラマンディ
気軽に遊んでくれて、なおかつ暴力的なファイトを見せてくれる魚……といえば、釣り堀のバラマンディでしょう。ダッシュやジャンプなどは強烈で間違いなく好敵手。
親指の指紋がなくなりそう!(笑)
クラッチもドラグもギアもついていないので、ダッシュを己の指だけで止めなければいけません。指紋がなくなるかと思いました(汗)
そしてハンドルも付いていないので、指でリールを回す必要があります。すごく恐怖を感じますが、それ以上にとにかく楽しい!
1:1のギア比ですが、スプール径が大きいため、思ってたよりもラインの出かたはスロー。きっちりやり取りできます。
慣れ親しんでいる釣り堀のバラマンディですが、いつも以上に楽しく釣りができますね。
ケース2:コロソマ
お次は日本の釣り堀から。静岡県にある浜名湖フィッシングリゾートさんでは、南米の怪魚であるコロソマを釣ることができます。
コロソマの引きの強さは超一級。リスぐるまの底力を試すには最適の相手でしたが……。
コロソマはこのリールに最も危険!
60cmクラスともなると、ダッシュをした瞬間にリールが高速回転します。それはもう恐ろしいほど。
ファイト中、リールに手を突っ込むと指に“ガツン”と衝撃。リスぐるまでコロソマを狙う場合は自己責任で。注意が必要であることをお忘れなく。
いつもの釣り道具よりも不利だからこそ、1匹が楽しくなる。そんなことをコロソマは教えてくれました。
なんども言いますが、くれぐれも自己責任で、安全に気を付けて楽しんでくださいね。
リスぐるまの遊び方
ラインは太いナイロンラインを使い、操作は指で
リスぐるまの操作は基本親指で行います。回転軸にある黒いラバーの部分を押さえるとリールが止まり、離すとリールがフリーに回転します。
キャストの時には抑えている指を離してリリースし、ルアーの飛行中はサミング……という具合でベイトキャスティングリールのような操作方法で扱います。
ドラグが付いていないので魚が走っていくのを止めるのも同じく親指。黒いラバーを押さえて指の力でドラグの機能を果たします。
リーニングの際はハンドルが付いていないので、「指を風車の中に入れて回転させる」、もしくは「掌でフレーム全体を回す」いずれかの方法で糸を巻き取ります。
リールに巻くのは太めのナイロンラインがおすすめです。4~12号くらいのものを用途によって使い分けましょう。強い魚を相手にするときには先にリーダーを入れておくのもいいでしょう。
ロッドは強めのスピニングタックルがおすすめ。
快適にリスぐるまを楽しむためには、強めのスピニングロッドがオススメ。最も使いやすかったのはM~MHパワーの10ftクラスシーバスロッド。これなら飛距離も十分です。
6~7ftのスピニングロッドでも扱えますが、柔らかすぎるものはやり辛いのでM~MHパワーのものが推薦します。
リスぐるまで1匹をもっと楽しく
「温故知新=古きをたずね温めて、新しい見解を導くこと」。
古来のリールに最新のテイストを盛り込んだリスぐるまは、古いのに新しいという感覚に浸れる不思議な釣り道具です。
技術も道具も進化し続ける今、リスぐるまを使ってフィールドに繰り出せば、忘れていた魚釣りの楽しさを再発見できるかもしれません。すくなくとも私ビックリマン高田は、そんな気持ちになりましたよ。
この記事を書いた人
ビックリマン高田
海外釣行ツアー会社ChillTripと釣具メーカーTranscendenceで活動しているプロフィッシングガイド。年間300日くらいは現場に出ているTSURIHACKアンバサダー。
日々、海外の怪魚たちやブラックバス、シーバス、ライトゲームなど幅広い釣りを楽しんでいる。
画像提供:ChillTrip