射水が令和初の王者 県青年相撲

団体・高岡-射水 大将戦で高岡の木下を攻める射水の小澤(右)=高岡市民体育館

 令和初の王者を目指し、県内アマチュア力士が力と技をぶつけ合った。高岡市民体育館特設土俵で11日に行われた第92回県青年相撲選手権大会。団体戦は射水市が全勝で3年ぶりの頂点に立った。個人総合は初出場の寺沢陸(射水市)が初優勝を飾った。

 団体には高岡、射水、富山、南砺、氷見の5市がエントリー。南砺市は大会当日に欠場し、4市でリーグ戦を行った。射水市は中堅や若手を含む8人が出場登録し、当日は6人で挑んだ。氷見市、富山市には圧勝。優勝を決める高岡市戦は大将戦までもつれた末、3-2で制した。2位は高岡市、3位富山市、4位氷見市となった。

 個人戦は3階級を実施。軽量級(85キロ未満)は尾山大地(高岡市)、中量級(85キロ以上115キロ未満)が寺沢、重量級(115キロ以上)は中山昌(同)がそれぞれ優勝した。各階級の上位で争う総合は、決勝で寺沢が中山の攻めをうまくかいくぐって下手投げを決め、頂点に立った。

■オーダー的中で全勝

 昨年覇者・高岡市と優勝を決める大一番。射水市主将の小澤晃太郎は得意の肩すかしで勝利し、チームに令和初の栄冠をもたらした。全勝優勝に小澤は「昨年2位で悔しい気持ちがあった。優勝はやっぱり最高」とはにかんだ。

 射水市は新加入の寺沢らを含む中堅、若手のメンバー6人で臨んだ。「他よりメンバーが多いのはアドバンテージになる」と宮原悠輔監督。相手のオーダーを予想しながらメンバーを変更。氷見市戦と富山市戦は、計10番のうち9番で白星を挙げる圧勝で優勝へ勢いを付けた。

 最大のヤマ場は、2勝同士で迎えた高岡市との一戦だ。二陣・寺沢が1分を超える長い取組をものにするなど、2勝2敗で大将戦を迎え、小澤が土俵に上がった。相手は共にアイシン軽金属に所属する木下洸樹(高岡市)。手の内を知る相手に「落ち着いて自分の相撲を取るだけ」と、立ち合いから勢いよくぶつかる木下に対し、タイミング良く体を開いてかわし、うまく技を決めて優勝をつかんだ。

 宮原監督を胴上げして喜びを分かち合った射水市チーム。主力メンバーは再来年まで変わらない。小澤は「来年は連覇して射水の時代をつくる」と力を込めた。 (西部本社・田中智大)

■寺沢鮮やか下手投げ

 個人総合は、寺沢(射水市)が鮮やかな下手投げで初優勝を果たした。「初めての大会で緊張したけど、なんとか勝てた」とほっとした表情を見せた。

 アイシン軽金属の先輩で、個人総合4連覇中の黒川宗(高岡市)は故障で棄権。5連覇を逃したことに触れ、「団体戦は別のチームだが、会社の先輩である黒川さんに続き、自分が個人戦の総合優勝を受け継ぎたかった」。

 決勝の相手は176センチ、120キロの中山(同)。173センチ、95キロと小柄な寺沢は立ち合いから力強い突き押しを受け、守勢を強いられた。「簡単に押されないよう粘り強い取組を意識した」。突っ張りをうまくかいくぐり、すかさず下手を取って巨漢を土俵にたたきつけた。

 団体優勝も果たし、最優秀新人賞と殊勲賞も獲得。25日の北信越相撲選手権に向けて「個人でも団体でも調子を上げていきたい」と意気込んだ。

 (西部本社・平瀬志保)

◆総評◆ 今大会は、大会当日に南砺市が欠場し、過去最少の4市での団体戦となった。優勝した射水市は、大会前のエントリー段階で唯一、交代枠に3人エントリーした。交代枠に主力メンバーを温存し、ライバルの高岡市と富山市に合わせたオーダーで臨み、総合力で優勝をつかんだ。

 優勝を決めた射水市と高岡市の対戦では、中村(高岡市)と新人の寺沢(射水市)との二陣戦が優勝を大きく左右する一番となった。寄って勝負を決めようと前に出た中村を、寺沢がうまく体を入れ、下手投げで豪快に投げ飛ばして取組を制した。2勝2敗で迎えた大将戦は、交代により大将に入った小澤(同)が余裕を持って木下(高岡市)を肩すかしで下し、3年ぶりの栄冠を手にした。

 個人総合は、開会式前の監督会議で4連覇中の黒川(同)のケガによる欠場が分かり、出場選手の誰が勝っても初優勝が期待できる大会となった。決勝は寺沢が中山(同)に対して安定した足腰で投げを打ち続け、初出場初優勝を果たした。

 県小学生相撲優勝大会は、参加郡市が2市増え、大いに喜ばしいことであった。県で唯一の体育館内で行う同大会に参加し、全国大会、そして朝乃山のような力士を目指してもらいたい。

 相撲は礼に始まり礼に終わり、丸い輪の中で何も持たずに力を出し合う。礼と輪、令和の時代にあった競技のように思われる。今後は新たなる若い力と数多くのチーム選手が参加し、富山の相撲人気をさらに盛り上げてほしい。 (高橋弘競技委員長)

個人総合の部決勝 中山(左)を下手投げで破った寺沢
個人総合の部で初優勝した寺沢(中央)。左は2位の中山、右は3位の中村

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