電柱が新事業の柱 北陸電力、5G基地局・防犯カメラ設置に最適

 北陸電力グループは、電柱や鉄塔といった自社の既存設備を活用した新ビジネスに力を入れている。第5世代(5G)移動通信システム基地局の設置場所として、携帯電話会社に電柱や鉄塔を貸し出す。電柱に防犯カメラを設置するサービスも始めた。電力小売りの自由化などで競争が激化していることを受け、電力インフラを生かして収益を確保する狙いがある。(経済部・浜松聖樹)

 5Gは、現行の4Gよりも大幅に高速・大容量化する。携帯各社は2020年春から本格的なサービスを提供する予定。基地局数の増加が見込まれており、設置場所をどう確保するかが課題となっている。

 設置場所の候補に挙がっているのが全国に張り巡らされた電力インフラ。東京電力の子会社が、既に携帯電話3社との実証実験に取り組んでいる。

 北電グループは昨年11月から、エリア内にある電柱約60万本、鉄塔約9200基を設置場所として賃貸するサービスを開始。楽天モバイルネットワーク(東京)など複数社と協議を進めている。

 今年5月からは、防犯カメラの設置場所として電柱を提供するサービスを始めた。提供先は自治体や警察、消防、町内会などで、子会社の「北電テクノサービス」がワンストップ窓口として対応。カメラの調達や工事、メンテナンス、手続き代行などを行う。設置費は20万円から。防犯カメラは犯罪の抑止効果から設置のニーズが高まっており、自治体などから約20件の問い合わせがあるという。

 5Gの基地局や防犯カメラには電源が必要で、電気を確保できることも電力インフラに設置するメリット。北電は経営環境が厳しくなる中、自社の強みを生かし、新しい成長事業の開拓を目指す。

 事業開発部新規事業推進チーム統括の瀬戸重行課長は「電柱や鉄塔は他社にない有効な資産。収益の拡大とともに、地域の課題解決に取り組みたい」と話している。

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