とどける つながる

 夕刊に自分が載っていたらしい。「もっとよか男に撮ってもらわんば」。定時制高校の教室に入るなり冷やかされた。走って帰宅し広げた紙面には、公募の詩に曲をつけるというラジオ番組の企画で「大賞」を取ったという見出しと記事と顔写真。還暦を過ぎてもなお、男性が詩作に励む原動力になった▲長崎新聞の題字下に時折登場するマークにお気づきだろうか。赤と青の縁取りの中に「130」。その上に「とどける つながる」。1889(明治22)年に「長崎新報」として誕生した本紙は9月5日、創刊130年を迎える▲これを記念し、読者と本紙とのエピソードを130人分募集中。冒頭の話に加え到着分から少し紹介したい▲投稿欄が生活の張りという人も多い。ザクロの思い出が「声」に採用された女性に数日後、本物が送られてきた。郵便局員もきっと読者で、大ざっぱな住所でもピンときてくれたのだろうか。「元日の新聞はとても厚くて重かった」。坂のまちならでは配達の苦労も寄せられた▲戦後すぐの島原半島。ちり紙用に親戚が持ってくる古新聞の束を何度も読み返した。読み物に飢えていた、と今は長崎に暮らす男性。その欲求に応えられているだろうか▲エピソードの締め切りは20日。本紙とつながるいろんな話をぜひ、お届けください。(俊)

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