自分の半生、映像でつづる 「セレモニービデオ」

セレモニービデオの一場面。この後、地上100メートル付近までカメラが上がっていく(春めき財団ホームページから)

 南足柄市生まれの早咲き桜「春めき」を使った活動を展開している「春めき財団」(同市塚原)は、依頼人の半生を歌と映像でつづる「セレモニービデオ」事業を始めた。DVD化し、生前葬などでの上映を想定している。1本の制作費は基本的に100万円だが、必要経費を除いた全額を視覚障害者施設へ寄付することにしており、同財団は「これまでの人生の振り返りと社会貢献を同時にできる」と話している。

 DVDは4分程度。歌は古屋富雄理事長が本人からの聞き取りをもとに作詞・作曲し、それを知人のミュージシャンが楽曲にして仕上げる。映像は本人から提供を受けた思い出の写真を基にするほか、ドローン操縦者の中島芳男さんが自宅周辺などを空撮したものも活用するという。

 これまで自身で作詞・作曲してCD制作に取り組んできた古屋理事長だが、1年ほど前に高齢者向けのCDを作る際、「自分の人生とオーバーラップした歌を望む人が多いのでは」と考えた。そのころ、運営する農園で中島さんと知り合い、ドローン映像なども合わせたDVDにすることにした。

 知人をモデルに試作品をつくってPRを展開。最近になって、数件依頼が入るようになったという。

 同財団では、香りの強い春めきは視覚障害者が春を感じることができる桜として、盲学校などへ寄贈をしてきた。こうした活動をセレモニービデオ事業でも引き継ぎ、売り上げから必要経費を引いた全額を視覚障害者施設に寄付することにした。5月にはその第1号として、県立平塚盲学校(平塚市追分)に県の基金を通して50万円の寄付をした。

 古屋理事長は「多くの人の善意で視覚障害者支援は動いているが、善意のお金も必要。視覚障害者には多くの才能がある。それを伸ばすには経済的な支援もないといけない」と話す。

 問い合わせは、同財団古屋理事長電話090(7849)9200。

© 株式会社神奈川新聞社