F1カレンダーに“夏休み期間”が設けられたのは全19戦になった2005年から。7月31日に第13戦ハンガリーGPを終え、次の初開催第14戦トルコGPは8月21日でお盆休み中に日本の夏を過ごした。
さて、今回は『夏休みコラム1』として、シリーズ前半の<ドライバー採点>を総まとめしてみよう。GPごとに“ベスト・イレブン”をノミネートしてきたが(☆1から☆5まで)、そのトータル獲得数順位を一挙発表、『トップスター』はやはり……?
19位:ロバート・クビサ(ウイリアムズ)/1☆同位:ロマン・グロージャン(ハース)/1☆同位:ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)/1☆=カナダGP・FP1走行18位:アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)/2☆17位:ランス・ストロール/5☆16位:ケビン・マグヌッセン(ハース)/6☆15位:ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)/7☆
いまや中堅のヒュルケンベルグだが前半は一貫性がもうひとつ、アピールするレースが少なかった。まったく違う意味の“アピール?”を再三していたのがマグヌッセンとグロージャン。ハースの潜在性能をたびたび見せるのにリザルトに反映できず、チームの意識にも影響しかねない。
貴重な1ポイントと同じ1☆を得たクビサとジョビナッツィ、特例としてカナダGPフリー走行でラッセルに0.2秒差、F2ドライバーのラティフィも21人目の同位だ。後半には彼のように抜擢チャンスを与えられる者が複数いるだろう。日本人の彼も……。
14位:ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)/8☆13位:セルジオ・ペレス(レーシングポイント)/9☆12位:ランド・ノリス(マクラーレン)/13☆11位:ダニエル・リカルド(ルノー)/15☆10位:ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)/16☆9位:ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)/17☆7位:キミ・ライコネン(アルファロメオ)/18☆同位:アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)/18☆
グランプリごとに一進一退、コンペティティブな中団グループ戦線。コースタイプや微小な温度上下コンディションによってタイヤ特性が変化、そのなかで最適セッティングを見いだし、ミスを犯さぬプレーがシビアに求められた。それ故に新人にとって例年よりハードルが高いシーズンになったと言える。
チーム対決の狭間で苦戦のペレス。開幕後はマシン戦力をカバーし3戦入賞も有効なアップデートが少なく、孤軍奮闘。完走率は高く、タイヤマネージメントのスキルが随所で見られた。チームは最下位でありながらエースのように映る新人ラッセル。劣る現状のマシンパッケージにもポジティブな態度で、途切れることなくモティベーションをキープ。周回遅れにされても100%完走、ほとんどミスをしないルーキーのレース・キャラクターに注目。
伸びてきたのは新人ノリス、フランスGP終盤の集団バトルで見せ場を演じ“ドライバーズ賞”を。予選スピードにポテンシャルを秘める19歳、FIA-F2時代よりF1に上がってから頭角を表すルーキーはそうはいない。
公式ドライバーズランキングと同じ11位にリカルド、カナダGP予選4番手/決勝6位は前半のワークス・ルノーで唯一の戦果。“脱レッドブル”を決断し移籍したものの、シャシーもパワーユニット(PU/エンジン)も競争力が不安定。シャープなオーバーテイク・スキルを発揮できるチャンスも減ってしまった。
まったくF1テスト経験がなかったアルボンにポテンシャルを感じたのは、初めてのピットスタートから10位入賞した第3戦中国GPだ。メンタルの強さは満点☆に値する。経験不足な部分を懸命に補おうとする姿勢がチームに評価され、率直な言動がメディアにも好感が持たれていった(これを書いているところでレッドブル・チーム昇格が発表された)。
ルーキーには高いハードルの前半に、ベテランらしい巧さが光ったライコネン。フェアでシュアーに実戦をこなし、新生アルファロメオで入賞率75%、新人アルボンと同点の星獲得数7位に。つづくのがレッドブル・グループ傘下のふたりだ。混乱のドイツGPで表彰台3位クビアト、チーム戦略を活かしきった。
一方明暗がくっきり分かれたのはガスリー、夏休み前の連戦で結果を出せず、トロロッソへの“強制的・移籍”に。ナイーブな性格の彼はそれが表情に出る一面がある。後半ベルギーGPからプレッシャーをため込まずにリスタートだ。
同位:カルロス・サインツJr.(マクラーレン)/25☆5位:バルテリ・ボッタス(メルセデス)/25☆4位:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)/25.5☆3位:シャルル・ルクレール(フェラーリ)/26☆2位:ルイス・ハミルトン(メルセデス)/35☆1位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)/40☆
ボッタスの星獲得は序盤に集中している。初戦を制し3連続PPのスタートダッシュ、第4戦時点ではポイントリーダーだったのだ。その勢いが夏になるにつれて薄れ、もうひとつ攻めきれないまま前半を終えた。
一方、マクラーレンのエースにふさわしい力量を示してきたのがサインツ、レースの筋目を読みとり9戦8回入賞。中間チームのトップ、ランク5位を固めていった。
ルクレールの満点☆は、PPから快走もPUトラブルによって3位惜敗した第2戦バーレーンGPと、フェルスタッペン相手に烈しいマッチレースを演じた第10戦イギリスGP。前半未勝利もいきなりフェラーリで“プレゼンス”を発揮、言動や真摯な姿勢がフレッシュな印象を与えたのではないだろうか。
ルクレールからその差わずか0.5で、星獲得数の4位はベッテル。あの第7戦カナダGP痛恨のミスによるペナルティ降格2位の後、つらい時期がつづいた。それを母国ドイツGPで20番手から2位入賞して払拭、本来の粘り強さを第12戦ハンガリーGPの3位で示した。
シリーズリーダーたるハミルトンの満点☆は、第6戦モナコGP、ほかに4☆が最多5回も。そつのないレースをコンスタントにみせつけてきた王者の地力である。
最多獲得はフェルスタッペン、ハミルトンに5星の差をつけて輝く。満点☆が4回ある。3位表彰台の開幕戦オーストラリアGPと第5戦スペインGP、そしてレッドブル・ホンダ1勝目をあげた第9戦オーストリアGP、そして2勝目の第11戦ドイツGP。